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講座レポート2024.10.07

【知って備える】食中毒予防・衛生管理の基本を学ぶ

もも
ライター:もも

秋こそ気を付けたい食中毒

パソコンを見せて説明する講師

全国的な猛暑となった今夏。9月に入っても残暑厳しい日々が続く中、例年以上に家庭での食材の取り扱いに慎重になっている方も多いのではないでしょうか。

今回は、2023年8月27日(日)に開催された『【知って備える】食中毒予防・衛生管理の基本を学ぶ』の様子をレポートします!

実は、秋こそ食中毒が増加するシーズン。キャンプやバーベキューなど、アウトドアが盛り上がる季節に向けて、食中毒の基礎知識と予防法を学びました。

食中毒の種類を知る

講師の藤田未玖さん

講師は、大館市の洋菓子店「パティスリー・メッスナー」の藤田未玖(ふじたみく)さん。製菓衛生師・ベビーフードコンサルタントの資格を持ち、お店では洋菓子の販売と製造補助、経理を担当しています。

藤田さんいわく、食中毒は原因によって以下の4つの分類に分けられるのだそうです。

・細菌、ウィルスによる「微生物性食中毒」
・添加物や薬剤などによる「化学性食中毒」
・動植物が本来持っている毒による「自然毒性食中毒」
・寄生虫による「寄生虫性食中毒」

中でも最も発生件数が多く、年間を通して発生しやすいのが、寄生虫による食中毒。

また、細菌による食中毒は夏に多く、ウィルス性のものは冬に多いというように、季節ごとの特徴もあるそうです。

ホワイトボードに書き込む講師

では、食中毒の原因となる病原微生物にはどんなものがあるのでしょうか。

藤田さんが参加者たちに問い掛けると、「サルモネラ菌」「ノロウィルス」「カンピロバクター」「アニサキス」など、普段身の回りでよく聞くものがどんどん挙げられました。

加えて藤田さんから、魚介類や海水から伝染する「腸炎ビブリオ」や、人の手のひらなどに付着している「黄色ブドウ球菌」、カレーなど粘度が高い食品の中で繁殖する「ウェルシュ菌」など、普段の生活で気を付けたい菌やウィルスの名前が。

こうしてみると、食中毒は本当に身近で種類も多いことがわかりますね。

それぞれの食中毒の特徴と対策を学ぶ

真剣に取り組む参加者

今回は、食中毒の原因ごとに、症状や増殖しやすい温度、対策などを学びました。

特に身近なものについて、主な予防方法をいくつか紹介します。

①家畜の肉や卵…サルモネラ菌

生卵は冷蔵庫から出して5分以内に食べきるのが理想。スーパーで常温で販売している卵も、帰ったらすぐに冷蔵庫に入れるのがベストです。調理器具は、使用前はアルコール消毒、使用後は熱湯消毒をしてしっかりと乾燥させることで安心できます。

②鶏を中心とした動物の腸管…カンピロバクター

カンピロバクターの対策方法は、冷蔵庫で保存することと、しっかりと火を通すこと。また、肉を水洗いするとキッチン全体に菌が広がってしまうためNG。調理器具は熱湯消毒がベストです。

③カレーやシチュー、酸素がない土壌など…ウェルシュ菌

ウェルシュ菌は酸素が苦手なので、保存時は底面の広いタッパーやバットに移すのがオススメ。更に、一回り大きいバットに氷水を張って急速に冷やすとより効果が上がります。

(藤田さんは、カスタードクリームを作った時にも、同じ方法で対処しているそうです。)

また、保存したものを再加熱して食べる際には、よくかき混ぜて酸素を含ませながらしっかりと加熱することが大事なのだそうです。

説明する講師の藤田さん

その他にも、腸管出血性大腸菌O157黄色ブドウ球菌腸炎ビブリオノロウィルスアニサキスなど、さまざまな食中毒の症状と対策方法を紹介していく藤田さん。

参加者からは、「卵はどれくらい加熱したら安心?」「半熟の目玉焼きは大丈夫?」「低温調理器で肉料理を作った時、中が赤かったらどうすればいい?」など、たくさんの質問が挙がっていました。

食中毒対策の三大原則は「つけない・増やさない・やっつける」

藤田さんの話を聞く参加者たち

様々な種類の食中毒がある中で、特に気を付けたいのは消毒だと藤田さんは言います。アルコールや熱湯、次亜塩素酸ナトリウムなど、それぞれの菌に合った方法でしっかりと消毒することが大切なのだそうです。

意識したいのは、菌を「つけない・増やさない・やっつける」の三大原則。

調理器具やキッチンの消毒についてのアドバイスに加えて、正しい手洗いの方法も学びました。

食中毒になってしまったら医療機関の受診を

万が一食中毒になってしまった場合には、まずはきちんと医療機関を受診することが大切だと藤田さんは話します。

食中毒は命に関わることもあるので、夜間や休日であれば迷わず救急外来を受診してOK。症状が重い場合や、乳幼児が罹ってしまった場合には、救急車を利用します。

その上で、同居の家族はできるだけ隔離し、手洗い・うがい・消毒を徹底。あとはそれぞれの症状や診断内容に合わせて対策するといいそうです。

身近なテーマに興味津々

植物性食中毒について説明する講師

他にも、自然毒による食中毒を防ぐ方法や、飲食店の営業許可についてなど、たくさんのことを学びました。

食中毒という身近なテーマだけあって、参加者たちも終始興味津々。

積極的に質問して、普段の生活へのヒントを取り入れていましたよ!

それでは、また講座レポートでお会いしましょう!