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講座レポート2023.10.27

【言語観を転換し、多言語で会話してみよう】ことばを楽しむワークショップ

しんしゅり
ライター:しんしゅり

体を使って楽しみながら、たくさんの言語を学ぶ!

英語が喋れたらいいな…なんて思ったことが、誰しも一度はあるのではないでしょうか?最近ではスポーツの世界の大会が外国で開催されており、外国や他の国の言語が少し身近に感じられるようになってきているかもしれませんね。

今回は2023年9月30日に開催された「『言語観を転換し、多言語で会話してみよう』ことばを楽しむワークショップ」の講座をレポートしていきます!

司会をつとめる織田さん

司会は、(一般財団法人)言語交流研究所ヒッポファミリークラブの織田多鶴子さんがつとめました。

メイン講師をつとめる伊藤さん

メイン講師は、同じくヒッポファミリークラブの伊藤恵美さん。秋田市在住。家族と一緒に多言語活動を始めて27年になると話します。今回の講座では、伊藤さんだけでなくヒッポファミリークラブのメンバーの皆さんにも応援で参加していただき、普段の活動の様子や雰囲気を体感することができました!

講座の参加者の中には小さなお子さんも。最初の内は緊張した様子でしたが、講座が進むにつれ笑顔が増え、ワークショップでは大人以上にいきいきと参加していました。

赤ちゃんの頃、どうやって言葉を覚えた?

人間が言葉を話せるようになるプロセスは、どの言語でも同じだと伊藤さんは話します。

最初の頃は、〇〇語らしさ(リズム・メロディ) 
(例:「~~タァ」)

少しずつ、語尾を捉えられるようになる
(例:「テンチャッ~~タァ」)

○○語の波として、話せるようになる
(例:「電車、行っちゃったぁ」)

最初から「言葉」「意味」として話せるようになるのではなく、最初は周りから聞こえてくる音を真似していくところから。意味は、繰り返しの中で大まかなところから分かっていく。これが、言葉の自然習得のプロセスなのだそうです。

ヒッポファミリークラブでは、「言葉の基礎構造は一つ」と考えていると伊藤さんは話します。そして、話せる言語が増えるほど基礎構造は密になり、補強されていくため次の言語もすぐに話せるようになっていくのだそうです。

多言語の活動と家庭

2017年4月22日BS朝日で紹介されたヒッポファミリークラブの活動を一部DVDで視聴しました!この中では、普段の活動の他、メンバーの家庭での多言語活動の様子、東京大学とマサチューセッツ工科大学(以下MITと表記)の共同研究における「多言語活動を話せる人の脳のメカニズム」など様々な話を聞くことができました。

ヒッポファミリークラブでは、大人も子供も一緒に多言語で歌や踊りを楽しみ、その中で自然と多言語を学び話せるようになっていくのだそうです。そんな活動にMITのスザンヌ・フリン教授は注目し「大変興味深く思いました。人が成長していく中で自然に言葉を学ぶ過程をこの活動にみることができます。」と映像の中で話していました。また、メンバーの家庭ではリビング・トイレ等、家のあちらこちらにスピーカーを設置し多言語を音として流している様子が紹介されました。「自然に聞こえてくることを大事にしている」とのことで、そのメンバーの家庭では子どもが急に「お母さん、黄色ってエラマリージョ?」と聞いて親を驚かせる様子も映し出されていました。この活動に関し、スザンヌ・フリン教授は「言語を身に付ける一番良い方法は、赤ちゃんが言葉を覚えるような環境に身を置くこと」だと話していました。

ワークショップで多言語を体験!

実際に、普段のヒッポファミリークラブの活動の中で実践されている多言語活動のワークショップを体験しました!今回行われたワークショップは全部で3種類。そのうち2種類を紹介します。

〇輪になって、多言語で挨拶
参加者同士、手を繋いで輪になって回りながら間奏の時だけ多言語で挨拶。言語は何語でもオッケー。
伊藤さんらの明るい雰囲気づくりもあり、DVD視聴中はやや緊張した様子だった参加者から自然と「ハロー」「アニョハセヨ」と声が出ていました。会場の空気も自然とにぎやかに!

〇多言語の音声を真似してみよう
DVDの音声を参加者みんなで真似するワークショップでは、中国語、韓国語…そしてヒンディー語、英語…様々な言語を体験しました。「CDから聞こえてくる多言語を、細かいことは気にしないで真似するだけで良い。勉強するより、楽しむこと!最初は音が通り過ぎるけど、何回もCDやメンバーの声を聞いたりする中で、だんだん聞こえてくるようになります。」と伊藤さんは話します。

ヒッポファミリークラブメンバーの体験談から

応援で今回参加していたヒッポファミリークラブのメンバーの皆さんも、それぞれ体験談を語っています。
オンラインで参加していた青森県在住のメンバーは、ベトナム人留学生のホストマザーを長年しており、結婚式に招待されたこともあるそうです。「ヒッポに入会して20年!ベトナム人の方と家族のようになれた。内にも外にも、私の世界が広がった!」と笑顔で話します。他のメンバーも、多言語に触れてきたことで自然と外国の方と心を開いて話せるのだと語っていました。

多言語で心も人も豊かになれる

ワークショップの最後は、伊藤さんの講話。「英語が話せたら」「世界に友達が欲しい」というきっかけではじめたという多言語活動。「今では、世界中に『家族』ができ英語もたくさんの言語の一つとして話せるようになった」と伊藤さんは話します。
ホストファミリーとして受け入れたり、また受け入れてもらったりする中でお客さんではなく「家族」になっていったのだと話してくれました。
今では40か国弱の方と家族として繋がっているのと話す伊藤さん。「チャレンジして、言葉も人も豊かになってみませんか?」の言葉で今回の講座を締めていました。

言語を覚えるのは難しい…とつい挫折してしまいがちですが、楽しみながら日々の生活で取り入れていくことで世界が広がっていきそうですよね!

ではでは、また講座レポートでお会いしましょう!