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講座レポート2024.10.07

【人生100年時代を元気に生きる】メディカル・サイエンスカフェ in 大館

しんしゅり
ライター:しんしゅり

「100歳まで元気に生きる」方法を専門家から学ぶ!

人生100年時代。そんな言葉を度々耳にすることが多くなりましたよね。2024年1月31日(水)、大館市駅なか交流センターを会場に、「人生100年時代を元気に生きる」をテーマに、秋田大学の先生と一緒に考える「メディカル・サイエンスカフェ in 大館を開催しました。大館での開催は平成28年以来7年ぶりの開催でした。

メディカル・サイエンスカフェとは?

医学や健康について、秋田大学の各分野の先生が共通のテーマについて分かりやすく解説する公開講演会 + 自由に意見交換をする場のこと!

今回来てくださったのはこちらの三人の先生方。

羽渕 友則 医学部長(秋田大学医学部)
本郷 道生 教授(秋田大学医学部保健学科理学療法専攻)
佐藤 雄大 助教(秋田大学医学部代謝・内分泌内科学講座)

カフェという講座名のとおり、飲食あり笑い声あり!難しいテーマではありましたが、参加者の皆さんは楽しみながら学びを深めていました。大学から「カフェ」を楽しんでいただくため、お茶とお菓子が用意され、今回は秋田大学の先生が考案した「サプリ饅頭」をいただきながらの楽しい時間となりました。そしてなんと今回の参加者数は40名!なかには80代の方もいらっしゃいました。

サイエンスカフェ・マスターの羽渕先生司会のもと、本郷先生・佐藤先生がお話をしてくださいました。レポートは前半・後半とまとめていますので最後までお付き合いください。

では、今回の講座の様子をレポートしていきます!

まずは前半!

笑顔で元気な健康長寿のために:健康長寿の秘訣は食事にあり

最初のテーマは、食事から考える健康長寿について!講師は佐藤先生です。

バランスの良い食事とは?

栄養素には、たんぱく質・脂質・炭水化物の「三大栄養素」とそこにビタミン・ミネラルを加えた「五大栄養素」と呼ばれるものがあり、それらはそれぞれ体にとって欠かすことのできない役割を持っています。
例えば、炭水化物であれば脳や神経などといったブドウ糖をエネルギー源としている組織にブドウ糖を供給すること。
バランスの良い食事には下記3つを意識する必要があるそうです。

① 身体にとってちょうど必要なエネルギー量を摂取する
② 身体をつくるのに必要な栄養素を摂取する
③ 身体の機能を保つために必要な栄養素を摂取する

1日に必要なエネルギー量は、基礎代謝量 × 身体活動レベルによって計算することができ、この目安に関しては日本医師会ホームページから調べることができるそうです。
自分のエネルギー量はどれくらいなのか、一度調べてみても良いかもしれませんね。

「身体の機能を保つために必要な栄養素を摂取するために、様々な種類の食べ物を食べることが重要」だと佐藤先生は強調しています。

当日配布された資料を見ながら、食事バランスガイドをチェック!
この食事バランスガイドは厚生労働省のホームページから見ることができるそうです。参加者の皆さんは真剣に資料を見ながら佐藤先生の話に耳を傾けていました。

からだに良い食事のとり方は?

食事は栄養バランスだけでなく、とり方にも気を付けるポイントがあると佐藤先生は話します。

例えば、食べる回数でいえば1日1食の人は3食の人に比べて死亡率が1.3倍高く、さらに心血管疾患での死亡率は1.8倍高いという研究結果が報告されているそうです。

また、食事をとる時間に関しても朝食や夕食を遅い時間に食べると心血管疾患の発症率が上昇するという研究結果が出ており、このことから「朝食や夕食は早い時間に食べた方がいい可能性がある」と言えるのだそうです。

長寿のための食事とは?

佐藤先生の最後の話題提供はカロリーのこと。
カロリーというと、なんとなく良いイメージがないかもしれませんが実は一概にそうとは言えないのだということをこの話の中で学びました。

例えば、フレイル(後半にて説明)のある高齢者は体重がある方が死亡率の下がる傾向があり、逆にフレイルのない元気な高齢者はBMI23前後が良い可能性があるとのことでした。
「高齢者の場合、カロリー制限により低栄養など様々な弊害が出る可能性がある(カロリー制限の有益性は不明)と佐藤先生は話します。

生活習慣病予防という観点から、食べ過ぎは良くないと言えますが過度なカロリー制限も身体には良くないことが分かりますね。

最後に、全体のまとめとして下記を紹介してくださいました!
● 適切なカロリーを摂取する
● 様々な食材をバランスよく食べる
● 規則正しい食生活

「結局、昔から言われていることが一番大事」と締めくくった佐藤先生。
今回の学びをきっかけに普段の食生活を見直していければ…と思います。

では、後半に続きます!

笑顔で元気な健康長寿のために:フレイルとロコモ予防のカギは運動にあり

講師は本郷先生です。

みなさんは、フレイルロコモという言葉を聞いたことがありますか? もしかしたら、なんとなく耳にしたことがあるかも…という方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回は講座を通して改めてこの言葉について学び、今から始められる簡単なフレイル・ロコモの予防策を学びました!

知っておいた方が良いフレイルとロコモのこと

まずフレイルとは、「加齢により心身が疲れやすくなった状態」を指すのだそうです。

そしてロコモとは、造語でありロコモティブシンドロームの略称。「移動するための能力が不足したり衰えたりした状態」を指すのだと本郷先生は説明していました。

このフレイルとロコモについて日本医学会連合は「人生100年時代における健康寿命延伸のための健康増進と医療対策のために克服すべき課題」と宣言しているのだそうです。さらに、「フレイル・ロコモの人はそうでない人と比較して要介護に至る危険度が約4倍」と重ねて宣言しているとのこと。

この話だけでも、元気に長生きしていくためにフレイル・ロコモは気を付けた方が良いことだと理解できますね。参加者の皆さんは真剣に資料を見ながら話を聞いていました。

フレイルとロコモの関係とは?

フレイルとロコモの関係として、下記の2点が挙げられると本郷先生は話します。
●ロコモはフレイルよりも人生の早い時期から現れる
●ロコモが進行し、身体能力の低下が顕著になるのが身体的フレイル

先に現れるのがロコモとのことですが、自分がロコモかどうか確認できる二段階の方法があるのだそうです。
第一段階は7種類のロコチェック。例えば「片足立ちで靴下が履けない」等が挙げられます。この項目に一つでも当てはまればロコモの可能性があるのだそうです。
第二段階はより少し詳しく、身体計測・アンケートでロコモ度を判定します。今回の講座ではロコモを予防し、いつまでも元気な足腰でいるための、「ロコトレ」をみなさんで体験しました。ロコトレとは2つの運動「かた足立ち」と「スクワット」です。

フレイル・ロコモは運動で予防できる!

「運動を安全に、かつ継続的に行うことでフレイル・ロコモは予防できる」と本郷先生は説明します。さらに、先生自身が研究されている「せぼね体操」の効果についても重ねて話していました。

せぼね体操は高齢者に見られる「こし曲がり」の予防に効果があるそうです。こし曲がりは腰や背中の痛みだけでなく、バランス不良・姿勢不良・胃腸障害など寿命に関わるものであり、運動で直すことは困難とのこと。そのため、予防することが重要になってくるのだと説明していました。
せぼね体操を先生が紹介すると、参加者はスクリーンを見つめながら大きく頷いていました。

「体操は簡単なものだからこそ、たまにでは意味がない。毎日や1日おきにやって、家でじっとしている人にも勧めてほしい」と締めくくりました。

食事のこと、そして運動のこと。日々の生活を改めて振り返り、これからの人生を考える良い機会になったように思います。最後の質疑応答でも、参加者の皆さんは談笑しながら今回の学びを振り返りつつ積極的に手を挙げる様子が見られていました!

それでは、また次回のレポートでお会いしましょう!