TOPへ

講座レポート2024.10.07

【客室乗務員から学ぶ】航空業界から学ぶコミュニケーション講座

大館学び大学
ライター:大館学び大学

すべての人にとって大切な「コミュニケーション」の心得を学ぶ!

どんな仕事であってもコミュニケーションは重要です。同僚や上司・後輩・お客様など多くの人と関わる上で、働きやすい環境が仕事の成果にもつながると言っても過言ではありません。
2024年2月29日(木)、ANA客室乗務員であり大館市地域おこし協力隊濱田栞さんによる【客室乗務員から学ぶ】航空業界から学ぶコミュニケーション講座」が開催されました。

濱田さんに講師を務めていただくのは、2022年1月以来の2回目。
福岡県出身で、2017年に全日本空輸株式会社(ANA)客室乗務員となった濱田さん。約6年の間国内外を飛びまわっていましたが、コロナの影響による航空需要の大幅減少を受けた各地への出向制度で、地域おこし協力隊として大館市へやって来ました。
秋田犬と雪が大好きという濱田さんは、大館各地を回ってYouTubeで魅力を発信する活動や、今年はハチ公生誕100年事業(通称HACHI100)に携わりいつも元気に笑顔で活躍されていたので、ご存知の方も多いかもしれません。
今回も、そんな濱田さんからコミュニケーションのノウハウを学ぶため、多くの参加者が集まりました。

そもそもコミュニケーションとは?

積極的に人に話しかけることがコミュニケーション力が高いと捉えられがちですが、実は本当の意味のコミュニケーションとは、双方向で行うこと。話すこと・聞くこと・感じたり考えたりすることまで含めて、お互いに気持ちや情報をスムーズに伝えることが良いコミュニケーションと言えるそうです。

航空会社であるANAにはたくさんの社員がいて、1つの飛行機を飛ばす際にはCAをはじめ機長・副機長、整備士、搭載係員など約10種類の職種の人が関わり、しかもそのメンバーは毎回同じではないそうです。
その中で仕事を確実に遂行するための取り組みとして、ANAで深く浸透している「アサーション」という文化について紹介していただきました。アサーションとは、互いを尊重した関係を築くことができるコミュニケーションスキルのこと。例えば部下から上司へであっても、指摘や提案を伝えやすくする関係性を作るためのものだそうです。「今日はアサーションしやすい雰囲気を作りましょう」「アサーションですが、ここは少し違いませんか?」と声を掛け合うということを教えていただきました。
ANAでは1つ1つの仕事がお客様の安全に直結しているからこそ、技術やシステムだけではなくコミュニケーションが重要視されているということがよくわかりました。

それでは、そのコミュニケーションを上手く行う5つのコツを学びます。

コツ①非言語コミュニケーションの活用

表情、身振り手振りなど、言葉以外のこともコミュニケーションを助けてくれます。特に目を合わせることは、コロナ対策などでマスクをしていても気持ちを伝える上で重要な要素だと濱田さんも気付いたそうです。
講座中の濱田さんは、最初から最後まで背筋を伸ばした座り姿がとても綺麗で、参加者全員に目を合わせながら笑顔で話してくれていて、話しながらもコツを体現されていました!
笑顔で接してもらうと、こちらも自然と笑顔になり、もっともっとお話ししたくなりますね。

「自分の印象を知る」体験

自分は人からどう見られているでしょうか?
各自で少し考えた後、2人1組になり、交代でお互いの話を聞いてみてどんな印象を持つかワークをしました。
自分の予想通りだった人も、そうではなかった人もいたようですが、1対1で話をして自分がどんなふうに見えたかを直接聞ける、シンプルですがなかなか無い機会でした。

コツ②相手への思いやり

自分が気持ちよく話すだけではなく、相手のことを想像することが大切だと濱田さんは話します。
航空業界でよく言われるという、「お水の種類は100通り」という言葉。お水が欲しいというお客様がいたとして、ただ水を渡せば良いという訳ではなく、喉が渇いているのなら冷たい水、薬を飲みたいのなら常温の水。服の汚れを落としたいのかもしれないし、だとすればシミ抜きセットの方が適しています。その人がなぜ水を求めているのか考えるところまでがサービスだということです。
その人がどうしたいのか、想像し、観察する。わからなければ聞いてもいい。ANAのおもてなしのクオリティの高さの秘訣を垣間見ることができました!

コツ③相手の話を聞く

「雑談は聞く力が9割」というような言葉も耳にしたことがありますが、コミュニケーションでは聞くことが最も大切だそうです。
コミュニケーションにおいて、ピンポンルールというものがあって、話す時間と聞く時間が4:6以内の割合でできているのが良い状態であり、そのバランスが崩れた場合、その時はどちらかがつまらない思いをしているかもしれないそうです。これは意識してみることで、すぐにでも普段の会話に活かせそうですね。

コツ④相手の名前を会話に入れる

人の名前を覚えるのは実は苦手という濱田さんですが、ビジネスクラスでは担当のお客様の名前を覚えて接客をするそうです!名前を呼ぶことは、相手にとっても特別感を持ってもらえて、印象にも残るとても大切なこと。確かに名前で自分を呼んでもらえると、覚えていてくれたことがとても嬉しいですよね。

コツ⑤感謝を伝える

濱田さん達は航空業界においても、コミュニケーションは感謝から始まるということを意識しているそうです。何かを伝える時に、ひとつでも感謝する言葉を添えることは、相手も気持ちがいい上に自分がその人のいいところを見つけるきっかけになります。この方法は誰にでもできるので、ぜひ試してみてくださいとのことでした。
ありがとうの文化が深く根付いているANAでは、感謝のメッセージを書いた「GoodJobCard(グッジョブカード)」を交換するそうです。
講座の最後に、このカードを全員で書いてみました。相手のことを想像し、感謝を伝えたいことを実際に考えながら、みなさんカードに記入していました。

今回の講座には、将来CAになりたいという中学生も参加していました。
講座終了後も濱田さんに熱心に質問をしている姿が印象的でした。大館学び大学の講座が将来なりたい職業の先輩に実際に会う機会となり、励みになっていればいいなと思います!

CAのみならず、すべての職種、すべての人にとって大切なコミュニケーションの心得を教えていただきました。ありがとうございました!