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講座レポート2022.06.15

【講座レポート】おじいちゃん先生が教える 地図の今昔講座

大館学び大学
ライター:大館学び大学

今は懐かしい、紙の地図の魅力に迫る

地図の今昔講座 2万5千分の1地図

学校で使った「地図帳」、みなさんの記憶にも残っていますでしょうか。

昨今、デジタル技術の発達に伴い、スマートフォンやパソコンがあればいつでも現在地や道を知ることができるようになりました。

紙の地図を持っているという人も少なくなってきたとは思いますが、デジタルマップにはない魅力がそこにはたくさん詰まっています。

今回は2022年5月28日(土)に開催された『【おじいちゃん先生が教える】地図の今昔講座』の様子をレポートしていきますよ!

ぜひ、昔の勉強を思い出しながら読んでみてくださいね。

「おじいちゃん先生」と学ぶ、地図の今昔

講師を務めたのは、元・地理歴史科の教員である今泉 悟さん。

「おじいちゃん先生」の名の通り、今年で66歳の今泉さんですが、今回の講座の企画を自ら立てて大館学び大学にプレゼンをしに来てくれたことがきっかけで、開催に至ったという経緯があるんですよ!

地図の今昔講座 今泉悟先生

幼い頃から地図が好きで、地図を広げては国や都市の名前を覚えながら机上旅行を楽しんでいたそうです。

学生時代は地理を学び、その後、高校の地理歴史科教員として教壇に立ちました。

地理といえば、地図記号や地名を覚える「暗記」のイメージがありますが、今泉さんいわく、地図を見てその場所の様子を想像してみることが大切なのだそうです。

「平面」の地図、実は「曲がっている」?

地図の今昔講座

地図と言えば、一般的には平面に印刷されたものを想像するかと思います。

しかし、地球儀や宇宙からの衛星画像を見て分かる通り、地球は球体でその表面は曲がっており、平面に写すと必ず「ひずみ」が生じてしまいます。

大陸を正しく表示するために、歴史の中で学者たちが研究した結果として「メルカトル図法(正確な方位を示すもの)」や「モルワイデ図法(正確な面積比を示すもの)」といったさまざまな図法を用いた地図が作られてきました。

例えば、メルカトル図法で描かれた地図は正しい方角を知るのに適しているため、昔から海図(航路用地図)として重宝されてきたそうですよ。

かつて大航海時代に海を渡った学者たちも、地図を見ながら行き先の街の姿を想像していたのかもしれませんね!

地図にもいろいろな種類があります

地図の今昔講座

長い間、地図は「紙」を媒体としていました。

切図(全体の一部を区切って作ったもの)や掛図(掛け軸のようにしたもの)、地図帳がその代表例です。

そこへ新たな媒体として加わったのが、アプリやカーナビなどでおなじみの「デジタルマップ」。

範囲の拡大・縮小が自由自在で、ズームや道案内といった紙媒体の地図にはない便利な機能も豊富にあります。

また、記載されている内容によっても地図にはさまざまな呼び方があり、地名や道路など基本的な情報が載っているものを「一般図」、必要な情報をピックアップして作られたものを「主題図」と呼びます。

主題図の一種であるハザードマップ(防災地図)を見ると、川の氾濫の恐れのある地域や、土砂災害の警戒地域が示されており、新しく家を建てる際の参考にもなるそうですよ。

地図上に蘇る、城下町・大館の姿

地図の今昔講座

続いては、大館の歴史に関するお話です。

今泉さんが見せてくれたのは、1728年(享保13年)の大館にあった城下町の復元地図。

桂城公園周辺に広がる城下町には、多くの侍たちが暮らしていました。

佐竹藩の有する大館城(別名・桂城)がこの場所に作られたのは、川や堀に囲まれた自然の要塞があることで、地理的に優れていたという点が理由の一つとして挙げられます。

現代においては、当時あった堀の跡が道路の形状にそのまま残っている所もあり、入り組んだ道になっているのも特徴的です。

一方で、堀を挟んだ反対側(現在の馬喰町の付近)には町人たちが居を構えていましたが、新しく道を作り直しているため、今では地形が大きく異なっているそうです。

興味深い!地図記号の世界

地図の今昔講座 地図を見る受講者

地図には、その場所に何があるのかを分かりやすく示すため、「地図記号」が使われているのはみなさんご存じかと思います。

地図記号は時代とともに新しく作られたものも多くあり、2019年に制定された「自然災害伝承碑」は、東日本大震災をきっかけに生まれました。

また、2006年に制定された「風車」の地図記号は、風力発電機が設置されている海沿いの町などに見ることができます。

反対に、使われなくなったものとしては「工場」や「桑畑」の地図記号が挙げられます。

「工場」は、現代においては表示する数が多すぎるためになくなり、「桑畑」は、畑自体の存在が少なくなっていったことから、2013年以降にその姿を消しました。

「等高線」から山の形を描いてみよう!

地図の今昔講座 断面図

最後に、今泉さんが受講者のみなさんに配ったのは6Bの鉛筆。

大館市にある山の一つ、二ツ山の断面図を描くことにチャレンジです!

地図には、同じ高さの土地を線で繋いだ「等高線」が描かれている箇所があります。

等高線を通る直線上にある点を結ぶことで、山の形を描き起こすことができるんですよ!

受講者のみなさんも鉛筆を手に線を引き、浮かび上がってきた山の形に感心している様子でした。

地図の今昔講座 講師と受講者

以上、今回の「おじいちゃん先生が教える 地図の今昔講座」レポートはいかがでしたでしょうか。

昔勉強した知識でも、変化している部分が意外とあるということに気付かされる内容でした。

大館学び大学では、これからもさまざまなオリジナル講座を開催予定ですので、ぜひお気軽に学びにきてみてくださいね!

それでは、また次の記事でお会いしましょう!