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講座レポート2022.09.02

【大館で農業を考える】農業を学び農家を継いで10年 有機栽培と安全へのこだわり

ふくだみのり
ライター:ふくだみのり

毎日食べるものだから。知っておきたい野菜のこと

ズッキーニを手にしている人

夏野菜が美味しいこの季節。
スーパーには色とりどりの野菜が並び、目にも鮮やかな光景が広がります。
値段や献立に合わせて食材を選ぶことが多いと思いますが、手に取った野菜がどのように作られているのか、きちんと意識して購入する方は意外と少ないのではないでしょうか。

今回は2022年8月20日(土)に開催された『【大館で農業を考える】農業を学び農家を継いで10年 有機栽培と安全へのこだわり』の様子をレポートしていきますよ!

近年よく耳にするようになった有機栽培や、農家の仕事内容などについて学びながら、種まき体験も交えて楽しく農業を知るきっかけがありました。

きっかけは、答えられなかった“こだわり”

講師の工藤寿美礼(くどうすみれ)さん

講師を務めたのは「OHANA farm」の工藤寿美礼(くどうすみれ)さん。
高校と大学で農業について学び、2012年から工藤さんのおじいさんが営んでいた農業を継いで野菜作りを始めました。
当初はJA(農業協同組合)出荷をメインに野菜を栽培していたという工藤さんですが、ある日お客さんから「こだわりはなんですか?」と聞かれた際に何も答えられなかったと話します。
その経験がきっかけとなり、以前から興味を持っていた有機栽培に目を向け、2018年から有機栽培を特徴とした屋号OHANA farmとして、徐々に農薬・化学肥料不使用の野菜作りに切り替えていったそうです。
現在は農薬や化学肥料を使わずに、年間約30品目の野菜を栽培しているみたいですよ!

また夫婦で農業をしていることから、ハワイ語で家族を意味するOHANA(オハナ)が名前に入っています。
「ゆっくり、のんびり、楽しく」をモットーに、野菜を買ってくれる人が気軽に畑に来れるような農家でありたいという願いが込められているそうですよ。

盛りだくさんなこだわり!

OHANA farmのこだわりについて話す講師

有機栽培とは、化学肥料や農薬に頼らず、家畜のふん尿や堆肥などの動植物質の有機肥料で、安全かつ美味しい食糧を作る栽培法をさします。
OHANA farmでは、化学肥料の代わりに牛ふんや鶏ふんを使って野菜を栽培しているのだとか。
ここではOHANA farmのこだわりである「土」「肥料」「防虫対策」「生育」「雑草対策」をそれぞれ話してくれました。

苗を育てる土は、自分たちで作った落ち葉や米ぬか、わらなどを混ぜて発酵させたものを使用して、発酵を始めてから何度も土を混ぜ合わせると話します。

真剣な様子で話を聞く受講者

防虫対策について説明する場面では、コンパニオンプランツ(野菜などのそばに植えることで良い効果をもたらす植物)を利用した栽培方法を実践し、トマトやナス、パプリカなどの畝にバジルを植えて防虫効果を狙っているそうです。
また、味や風味を良くするために相性の良い作物を一緒に植えていると話す工藤さん。
OHANA farmでは、エダマメとトウモロコシを一緒に植えているそうですよ!

たくさんのこだわりを持って取り組む姿勢に、受講者のみなさんも真剣な様子で聞き入っていました。

農家のお仕事と1日の流れ

農家の仕事について話す講師

毎朝4時半に起床し、野菜の収穫作業から1日が始まる農家のお仕事。
6時半からは袋詰め作業を行い、8時半になったら産直へ出荷。
その後は9時半から正午まで畑仕事を行うそうです。
13時半から午後の部が始まり、18時半から19時頃に仕事が終了するのだとか。
朝が早いことはもちろんですが、このタイムスケジュールにみなさん驚きを隠せない様子でした……!
併せて農業の難しさや働く上でのやりがいなど、農家さんのリアルな声を聞くこともできました。

nouka

数ある作業の中でも特に興味深かったのが、味の次に大事と言っても過言ではないと話す袋詰め作業です。
工藤さんはなるべく他の農家さんとかぶることがないように、きれいでおしゃれな見た目になるように心がけているそうです。
例えば、トウモロコシは皮を少しむいて黄色が目立つように工夫したり、カボチャには麻紐でタグを付けるなど、思わず手に取りたくなるようなこだわりが!

ほかにも野菜の収穫基準や価格設定など、なかなか聞くことのできない話もありましたよ!

自然と笑みがこぼれる種まき体験!

種まきの説明をする講師

講座の後半では、「収穫までの楽しさを味わってほしい」という工藤さんの思いから、バジル・パセリ・ベビーリーフの3種類の種まき体験を行いました。
紙コップに土を入れ、爪の先が入る程度の小さな穴を空けたらお好みの種をまいていきます。
外に出したり植え替えの必要がなく、表面の土が乾いたら水を与えるだけで大丈夫だと話す工藤さん。
あまりの手軽さに、みなさん驚いている様子でした。

種まきをする受講者

慎重に種をまいていく受講者のみなさん。
土に触れる機会が少ないことから、和気あいあいと楽しそうに種をまく姿が印象的でした。
今回まいた種は、数日で芽が出て1カ月程で大きくなるそうです。

最後はOHANA farmで採れた野菜をみなさんにプレゼントして、講座は終了しました。
オクラ・ナス・ミニトマト・カラーピーマンの中でも、オクラとナスは朝に採ってきたばかりなのだとか!
家に帰ったら、早速採れたての有機栽培野菜で料理したくなりますね。

実家が農家だったり、実際に農業を始めてみたいという受講者が多く見受けられた当講座。
普段何気なく口にしている野菜について、より深く学ぶことができました。

OHANA farmの野菜は「道の駅ふたつい」「採れたて旬菜館」でお買い求めいただけます。
とても美味しいので、気になった方はぜひ足を運んでみてくださいね。

ではでは、また次回のレポートでお会いしましょう!