心と体を健康にする方法を学ぶ
働き方改革やコロナ禍において注目されるようになった、「ウェルビーイング」という言葉を皆さんはご存知ですか?
世界保健機関(WHO)憲章の前文では、「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」とされており、健康であることは働く上でもパフォーマンス向上や離職率の低下につながるとして若い世代を中心に重要視されています。
2023年6月18日、「心を育むここはぐラボ」代表の伊藤孝子さんを講師に迎え『【仕事や生活に生かせる】ウェルビーイング・幸福感を高める心理学』が開催されました。
会場の大館学び大学キャンパスに入ってすぐ、伊藤先生の明るい声と笑顔に迎えられたのが印象的でした。
会場に集まったのは、ある程度の年齢や立場にさしかかり、会社の運営や働き方をこの先どうしようかと考えている方、心にモヤモヤを抱えながらもポジティブに生きる方法を知りたいという方、ウェルビーイングについての理解を深めたい方などさまざまな方々でした。
種をまいて、花を育てるように
テーマは「笑顔の花を咲かせよう」。「笑顔の種をみつけよう」「心の土壌を整えよう」「笑顔の種をまこう」という順に、ひまわりの花が咲く過程になぞらえながら本題が始まりました。
笑顔になるための種を見つけようとしても、そういえば「良いこと」って簡単に思い浮かびません。悪いところや不安なことについつい注目し、考えてしまうのは、ネガティビティ・バイアスといって人間にとっては自然なことなのだそうです。むしろネガティブな気持ちがなければポジティブな気持ちも感じられなくなるから、マイナスの感情ともしっかり向き合い、大切にしてくださいと語る伊藤先生の言葉には、科学的根拠に基づいた説得力があり、多くの人が頷いていました。
話がしやすい“場”のつくり方
わたしたちは、安心できる状態にあるときは人の話を聞いたり考える能力が高まり、それが学びや成長に繋がっていくのだそうです。逆に、怒られたり威圧されていると思考が停止してしまい、失敗を繰り返してしまう原因になります。
実際に2人組になって実践することになりました。片方の人が最近の楽しかったことなどを話しますが、もう片方の人はそれに一切反応せずに無視してくださいというなんとも酷なミッション。みなさん苦笑いをしながらやりづらそうにしていましたが、時間を終えての感想は、やはり相手の反応が悪いと萎縮して話を続けられなくなってしまうという人がほとんどでした。
仕事または家庭など、自分の生活の中で身に覚えがあった人も多いのではないでしょうか。身をもって理解できたことで、今後自分の身近な人との接し方に活かせそうな気がします。
気持ちは伝染するから、自分が幸せでいよう
3つ目のステップでは自分が実践したいことを伝え合い、最初は静かだった会場も後半になるとだいぶ緊張が解けて空気が柔らかくなったのを感じました。良い状態も悪い状態もまわりに伝染するからこそ、自分の心の安定や前向きでいることが大切だということがよくわかりました。
最後に、幸せの大敵は孤独であると話した伊藤先生。家族など深い関係も大切ですが、今回のような講座に参加して隣同士になって話をするような小さな関係をもつのも良いことで、そのバランスが重要なのだそうです。
ちょっとした出会いを重ねることで、良い刺激を受けて自然と学びが深くなり、身についていくのかもしれませんね。
終始、先生から笑顔をわけてもらえるような講座でした。今回は種をまくステップまでを学びましたが、参加者の中にはもっと詳しく、その先も知りたいという方も多かったようです。
また、企業での社内教育をする方や、子育て中の方などにとっても役立つことが多いので、ぜひ聞いていただきたい内容でした。
それではまた、次回の講座でお会いしましょう!