見返した時にわかりやすいノートの取り方
講義を受ける際やパッと思いついたアイデアを書き留める時など、さまざまなシーンで活用するノートですが、せっかくなら見返した時にわかりやすいノートを書きたいですよね。
今回は、2023年9月2日(土)に開催された『【聞く・まとめる・書く力を伸ばす】思考を整理するノートの取り方』の様子をレポートしていきます!
講座では、ノートを取る際のポイントを意識しつつ、目の前で繰り広げられるトークセッションを聞きながら要点をまとめる“ノートテイク”にも挑戦しました!
グラフィックの力
講師は、まちづくりファシリテーターの平元美沙緒(ひらもとみさお)さん。秋田県内のまちづくりワークショップを中心に、ファシリテーターやグラフィック・レコーダーとして活躍しています。また、この日は特別に、インターン生として平元さんのもとで勉強している秋田大学3年生の伊藤芽玖(いとうめぐ)さんもアシスタントとして参加してくれました。
まずは、今回の大きなテーマであるグラフィック・レコーディング(通称:グラレコ)について説明がありました。話し合いの場で出てくる生の言葉を文字・記号・イラストなどで図示して記録する手法を意味するグラレコ。簡単に言うと、話し合いを見える化することであると平元さんは話します。その上で、グラレコもノートテイク(話を聞きながら実際にメモを取ること)も、大事なのは思考を整理する力だと念を押していました。
どうやって思考を整理するの?
思考を整理する際は、以下の3つのポイントを押さえることが重要なのだそうです。
①今話す/聞くべきことは何か?(★“論点”をつかむ)
②どう話がつながっているのか?(★“文脈”をつかむ)
③何が重要か?(★“要点”をつかむ)
また、思考を整理する時は“見える化”が必要になるそうですが、それにはちゃんと理由があると平元さんは話します。
人間が視覚から得る情報量はなんと87%もあるそうで、“見る”ことがいかに大事であるかがよくわかる数値でした。他にも、人間は1日6万回以上も思考を深めているそうで、そのうちの9割は同じことをリピートして考えているそうです。これらを脳の外に出すことで堂々巡りがなくなり、思考を深めることができると話します。
そのためにも、一度紙に書くことで思考を客観視することができ、冷静に整理できるようになるそうです。
イラストが必要な理由とは
思考を整理するためには一度紙に書いて“見える化”することが大事であることを学びました。ただ、単純に“見える化”するだけであれば文字だけの記録でも問題がないような気もしますが、イラストが必要な理由もちゃんとありました。
①長い話も1枚にまとまり、振り返りやすい(★一覧性)
②話と話のつながりや流れを表現しやすい(★整理整頓)
③専門的で難しい話も図や絵でわかりやすく(★翻訳機能)
文字だけでは難しくなりがちな長い話を短くまとめられるのは、イラストや矢印を使用しているからだと話す平元さん。確かに、文字だけで全てを表現しようとするとたくさんの接続詞が必要になりますが、イラストや矢印があれば言葉の“関係性”や“つながり”が目に見えてはっきりとわかるようになりますよね。
わかりやすく描くためのグラフィック・パターン!
ここからは、平元さんが実際に活用している6つのグラフィック・パターンの紹介がありました。下記にパターンの特徴をまとめたので、ぜひご参考にしてみてください!
①「文字」の形と大きさ(メリハリをつける)
★文字は万人受けしやすい“丸文字”で書く(枠内に大きく書く)
★漢字は大きく、ひらがなは小さく書く
★大事なポイントは大きく書く
②「色」の特徴をつかむ
★色使いのマイルールを作る(赤はポジティブ、青はネガティブなど)
★黄色やオレンジは文字には使用せず、下線などの強調に使う
③「枠」を活用する
★トピックごとに枠を作る
★漫画の吹き出しを参考に
④「線・矢印」を使う
★情報のまとまりを線で区切る(話が変わったら線を引く)
★矢印で話の流れを表現
⑤「アイコン・イラスト」を使う
★大事なポイントに置く
★似ているかどうかは気にしない
★絵を描くのが苦手な人は「★(星マーク)」を活用
⑥「レイアウト」の力を使う
★「逆N型」「Z型」を活用
★大事な部分にアンダーラインを引く
(人の視線は“左上”から“右下”へ移動しやすいため)
ここまで6つのパターンを紹介しましたが、ここで紹介したものはあくまでも一つの例であるため、わかりやすく書く方法は無限にあるそうです。
大まかな図解の流れ
さまざまなグラフィック・パターンを学んできましたが、パターンを上手に活用するためにも図解の流れを理解する必要があります。
流れとしては、まずは相手が言いたいこと(テーマ、全体像など)をつかみ、次に登場人物(キーワード)をイラストで描きます。それらの登場人物の関係性(やり取り、流れ、因果)を色・矢印・線などのパターンを使って描きます。
上達するためにも、人に見せる可能性を踏まえた上で書くことをオススメしていました。
トークセッションを聞いてノートテイクに挑戦!
講座の後半は、大館学び大学のスタッフ2名によるトークセッションを聞きながら、その場でノートテイクに挑戦するワークを行いました。「大館の食といえば」をテーマに、5分間のトークセッションが繰り広げられます。皆さん今まで学んできた6つのパターンを駆使しながら、一生懸命ノートテイクに挑んでいました。
書き終わったあとはグループでノートを見せ合い、難しかったポイントや工夫したポイントを共有しました。「図で書くのが苦手」「グラフィックに落とし込むのが難しい」といった声や、「落としどころを整理できた」「イラストがうまく描けた」など、さまざまな声が上がります。
今回は大館学び大学のスタッフの話を聞きながらノートテイクを行いましたが、聞く時の要約ポイントについて平元さんから以下の説明がありました。
①話の“テーマ”を軸に要点をつかむ(★これができていれば100点!)
②何度も繰り返す言葉や声を大きくしたところや、「つまり」「要するに」の後など、“重要になりそうなところ”を察知する
③複数人の話し合いの時は、それぞれの人の“意見の違い”に着目する
また、わからないことや聞き取れなかったことは素直に訊ねるのが良いそうで、ノートを取る際も手を止めず、これだけでもいいから書こうという精神が大事だといったアドバイスもありました。
モチベーションを上げるための工夫
これまでにノートを取る際の数々のポイントを学んできましたが、まずはノートを取ろうというモチベーションが重要だと話す平元さん。自分が書きやすいと感じるマイペン・マイノートを準備することをオススメしていました。
“紙のサイズは思考のサイズ”であるという持論を持っている平元さんは、A4などのひと回り大きいサイズのノートを使うことを推奨していました。中でもリングノートは広げるとA3サイズになる上、切り取ることができるのでとてもオススメしていましたよ!
そのほか、パッと見て読める太めの水性ペンが使いやすいそうで、裏うつりしにくく滲まない「紙用マッキーペン」を愛用しているといったお話もありました。何より思いっきり使っても罪悪感がないお手頃価格のアイテムを選ぶことを勧めていました。
明日から使える思考を整理するノートの取り方!
講座の最後は、グラフィック・パターンを使いこなすポイントについて以下の話がありました。
①大きな「太字」でタイトル・見出しを書き、何について書いているかを明示する(★イメージは新聞)
②「枠」や「線」でトピックを分けて読みやすくする(★話の区切りは線の区切り)
③大事なポイントを「色」や「アイコン」で強調(★主役にスポットライトを当てる)
④詰め込みすぎず、余白を持って描く(★紙の余白は心の余白)
ファシリテーションスキルを生かした場づくりの効果で、いつの間にか受講者の皆さんもすっかり打ち解けて、終始和やかな雰囲気で進められた本講座。最後は「ノートをうまく取れるかどうかではなく、ノートを取るかどうかが大事」だという平元さんの言葉で講座は終了しました。
講座終了後も平元さんオススメの本や文房具の紹介ブースに受講者が集まり、交流を深めていました。今回学んだ知識を今後の暮らしに生かしていきたいですね!
ではでは、また講座レポートでお会いしましょう!