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講座レポート2023.10.25

【プロの技を身近に】和食料理講座~料亭の味をプロから学ぶ~

しんしゅり
ライター:しんしゅり

老舗料亭の料理人に学ぶ!和食のいろは

平成25年(2013)にユネスコ無形文化遺産に登録され、世界から注目も集めている和食。
身近なものだと、大館では郷土料理としてきりたんぽが有名ですよね。
日本の食文化として広く知られている和食ですが、和食の作り方の基本を知っている…という方は実は少ないのではないでしょうか?

今回は、2023年9月28日に開催された「【プロの技を身近に】和食料理講座~料亭の味を学ぶ~」をレポートしていきます!
実は大館学び大学オリジナル講座では初の試み。講師の料理を見て学ぶ!大館の料理人が講師を務めるお料理講座第一弾!多くの方が参加され和食の技とコツについて深く学びました!

講師は、創業明治26年の大館の老舗料亭「北秋くらぶ」5代目の石川博司さん。大館きりたんぽ協会会長・日本料理研究会技術理事を務められています。

はじめに石川さんが話したのは、和包丁の種類。「包丁が和食と洋食の大きな違い」とのこと。洋包丁は刃のつき方が両刃なのに対し和包丁は刃が片面のみにつく片刃
包丁の刃にも違いがあるなんてびっくりですよね。今回は、和包丁の中でも基本の3種類にあたる「出刃包丁・柳刃包丁・薄刃包丁」について話していました。

和包丁の基本の種類3つ

出刃包丁とは、魚を下ろす時に使うものとのこと。これは、耳にしたことがある方も多いかもしれませんね。柳刃包丁は刺身包丁の一つ。刺身は包丁の上から下まで使って切らないと繊維がつぶれて美味しくなくなってしまうそうです。これは玉ねぎなどの野菜も同じで、繊維を綺麗に切ることが美味しさのポイントとのこと。そして、薄刃包丁。これは菜切り包丁のことで、その名の通り、野菜を切るために設計されているのだと話していました。

切り方で野菜は食感や美味しさが変わる

和食野菜の切り方では、大根のかつら剝きをしながら切り方のコツについて話していました。これからの季節に欠かせない大根。熱心にメモを取っている参加者が何人もいました!
大根の繊維は縦になっているため、繊維に沿って縦に切れば食感がパリパリになり、サラダに合い、横に切れば刺身の「つま」になるなど、同じ大根でも切り方で食感が変わるのだと話す石川さん。

「大根のかつら剝きは和食の基本。修行して1、2年目の仕事だからやるのは40年ぶりです。」と笑いながら話す石川さんに、会場の空気が和む様子が見られました。

本日一番のメイン!出汁の話

今回の講座で出汁に使ったのは、昆布とカツオ節
「昆布のグルタミン酸」と「カツオ節のイノシン酸」の相乗効果でうま味が出るため、美味しくなるのだと石川さんは話します。昆布には、日高昆布・利尻昆布・羅臼昆布…など色々種類があるのですが、料亭で使われているのは少し甘みがあることが特徴の真昆布。「良い昆布を使った方が美味しくなる」と話しています。

また、カツオ節は鹿児島県の枕崎市と指宿市、そして静岡県の焼津市が三大産地だそうです。「自宅で出汁をとる分には市販の削り節で十分美味しい。でも、削りたてだと美味しさが全然違う。」と話す石川さん。料亭の出汁の味が違うのは、こんなにも素材にこだわっていたのだと改めて気づかされます。

さらに「出汁は、水道水かアルカリイオン水を使うかで美味しさが全然違う」と話していました。アルカリイオン水は近くのスーパーでも手に入るので、すぐに真似できそうですよね。
以下、講座で紹介された出汁の取り方を紹介します!

★一番出汁 
水・・・・・・2ℓ
昆布・・・・・20g
かつお節・・・60g

① 昆布を分量の水につける(冬季は1時間程、夏季は30分程)
② 煮立つ直前まで火にかけ、取り出す
③ 火を止め、すぐにかつお節を入れる(この時、ちょっと沈むまで待っている)
④ かつお節が沈み、アクが出たらすくう
⑤ 最後にサラシ(ペーパータオルでも良い)でこす

一番出汁は、お吸い物にしか使わないとのこと。出汁が美味しいので、調味料は薄味で良いそうです。料亭ではお吸い物に木の実や柚子を乗せており、今回は柚子を使っていました。

出汁は二番出汁までとるのが、和食の常識だと話す石川さん。二番出汁は、煮物や出汁巻きなど色々な和食に使われるそうです。今回は、餡かけ豆腐、茄子の揚げびたし、出汁巻きに使っていました。

★二番出汁 
水・・・・・・2ℓ
かつお節・・・50g
一番出汁をとり終えた昆布とかつお節全量

① 水と新しいかつお節、一番出汁で出汁をとった昆布とかつお節を火にかける。
② 沸騰したら弱火にして10分煮る
③ サラシでこす(しっかり絞る)

出汁をこす時には、良い香りが部屋中に湯気と一緒にふわっと広がっていました!

プロが作るだし巻きたまご!

今回石川さんが作っただし巻きたまごは、関東風関西風の二種類。明確な区別はないのですが、甘さや使う出汁の量に違いがあり区別するためにそう呼んでいるそうです。
フライパンを上下に揺らしながら、くるくるとたまごを巻いていく姿に参加者の皆さんから感嘆の声があがっていました!

試食では、実演で作ったものが一品ずつ参加者の手元に。参加者の皆さんはそれまでの集中した様子から一転、表情がほころび「すごく出汁の良い香りがする」「美味しい」との感想が部屋のあちらこちらから聞こえてきました。

質疑応答でも「出汁をとった後の食材の使い方」や「茶碗蒸しのコツを知りたい」、「年末に向けて、きりたんぽの出汁の取り方講座も聴いてみたい!」等、最後まで盛り上がっていました。今回の学びを日々の食事に取り入れていきたいですね!

ではでは、また講座レポートお会いしましょう!