「生成AI」をビジネスに生かすためのキホンを学ぶ
皆さんは「ChatGPT」等の生成AIに対して、どのようなイメージを持っていますか?
「興味はあるけれど、どういうものなのかよくわからない」「自社の事業にどう生かせるのだろうか」という疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
2023年12月20日に開催された「【今からでも遅くないAI活用】ビジネスにおけるChatGPT・生成AIの始め方」では、生成AIの種類や基礎知識から、具体的な活用例まで、生成AIのビジネス活用の基本を学びました。
「ChatGPT」って何?
講師を務めたのは、東京・渋谷のAIベンチャー企業で生成AI等のビジネス活用支援を行っている黒川遼太郎さんです。
黒川さんは、約5年前に大館市に滞在し、市の観光ムービー制作や、市内中学校でのプロジェクションマッピング制作指導など、さまざまなプロジェクトに携わりました。現在でも、年に数回は大館市を訪れているそうです。
「今回の講座で、皆さんのAIに対する解像度を上げることができれば」と話します。
AIは、音声や画像の認識などを行う「識別AI」、数値予測などを行う「予測AI」、表現やデザインを生成する「生成AI」の3つに分けられます。
今回の講座で取り扱うのは、「ChatGPT」などの「生成AI」。
生成AIの中でも、人間に与えられた指示テキスト(=プロンプト)に基づいて予測と応答を生成するAIを「大規模言語モデル(LLM)」といいます。
「ChatGPT」は、「OpenAI」という企業が作ったLLMの名称。ChatGPTの他にも、世界中でさまざまなLLMが開発されているそうです。
黒川さんによると、最近は心(脳波)を読んでテキストに変換する生成AIも登場しているのだそうです。
Amazonが提供している「Alexa」などのAI音声認識サービスでは、スマートフォンや家電を操作する際に呼びかけが必要ですが、今後脳波を読み取るAIが発展すると、その呼びかけさえも不要になるかもしれません。
黒川さんも、「AIはどんどん進化しているので、自分も進化しなくては」と、AIのさまざまな活用法を日々探究しているそうです。
AIを恐れず、便利に利用するために
AIの活用と発展が進む昨今では、「AIが進化すると人間の仕事がなくなるのでは」と危惧する声を耳にすることも多くなりました。
しかし、黒川さんは、「AIは人の役割を代替するのではなく、人の能力を拡張して生産性を向上させてくれるもの。『人間 vs AI』ではなく『人間 with AI』と捉えてください」と話します。
また、「AIの回答は本当に正しいのか?」という懸念があり、実務に使用できないというケースもまだまだ多いのが現状です。
こういった懸念について、黒川さんは「AIは『きっとこの後にはこれが来るだろう』というものを予測して生成しているだけなので、必ずしも正しいとは限らない」と話します。
完全にAIに頼ってしまうのではなく、人の能力とAIの能力を上手に組み合わせて活用していく必要がありそうです。
生成AIをビジネスにうまく取り入れるコツ
続いて、これまでに黒川さんが手掛けた、生成AIを活用した具体的なビジネスの事例を紹介してくれました。
広報担当者のニーズに合わせてプレスリリースを生成するツールや、契約の解除率を予測するツール、アパレルデザインの自動生成ツール等、業種も活用法もさまざま。
生成AIの「次に来るものを予測して生成することが得意」という特性を上手く利用することで、特定の作業を簡略化したり、プロジェクト全体の時間を短縮することが可能になります。
生成AIを上手にビジネスに取り入れるためには、業務全体の流れを見直し、どの工程に、どのような形で生成AIを導入するかを見極めることがカギになりそうです。
自動返信のチャットボットも生成可能
講座の最後には、ChatGPTの有料プランで使える機能を利用して、講座会場であるコワーキングスペース「MARUWWA」の自動返信チャットを実際に生成しました。
生成したチャットボットにMARUWWA公式サイトのURLを与えることで、営業時間や利用料金などの情報をサイトから自動的に探し出し、お客さんからのお問い合わせに自動返信してくれるようになります。
参加者たちは、生成AIの進化に驚いたり、おもしろがったりしながら、興味深そうに説明を聞いていました。
AIへの関心の高さを感じた講座
参加者から活発に質問が飛び交っていた今回の講座。トレンド分野である生成AIへの関心の高さを実感しました。
既に生成AIを実務に取り入れている参加者も多く、「プロンプト(指示文章)の書き方の参考になる例文の探し方を教えてほしい」「日本語よりも英語で指示した方が応答の精度が高くなるのか」「AIで生成した物の著作権や商用利用のルールは?」「情報の漏洩など、セキュリティ面が不安」等、実用的な質問がどんどん挙がっていました。
生成AI、LLM、ChatGPT、プロンプトなど、AIに関するワードが日常的に聞かれるようになった昨今ですが、「それらの用語を断片的に捉えるのではなく、『できること』を正しく理解し、ビジネス文脈で捉えなおすことが大切」と、黒川さんは話します。
「実際に使ってみることで理解が深まるので、ぜひ生成AIを触ってみてください」という言葉に、参加者たちも納得したように頷いていました。
それでは、また大館学び大学の講座レポートでお会いしましょう!