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講座レポート2024.10.07

【近隣の市町村から学ぶ地域活性化】小坂町の山ぶどうワインで町おこし

しんしゅり
ライター:しんしゅり

小坂町のワインにかけた努力と情熱、そして美味しい楽しみ方を学ぶ

小坂町と言えば、小坂鉱山が遺した歴史のある街並みやワイナリーをすぐ思い浮かべる方が多いかと思います。今回のテーマは、その中でも小坂七滝ワイナリーの山ぶどうワイン!
会場のMARUWWA三角に14名の参加者が集まり、小坂ワインの歴史やその奥深さをワインのテイスティングもしながら学びました。

では、12月21日に行われた「【近隣の市町村から学ぶ地域活性化】小坂町の山ぶどうワインで町おこし」についてお伝えしていきます。

講師は、小坂七滝ワイナリーの設立からワイン造りに携わり現在は小坂まちづくり株式会社の取締役相談役を務める髙橋竹見さん

「小坂町と言えば!」で多くの方にイメージされることが多い小坂鉱山事務所や小坂鉄道レールパークを運営しているのがこの小坂まちづくり株式会社。
小坂町の町づくりとワインに誰よりも詳しい髙橋さんから聞くお話は、改めて小坂町とワインの魅力に気づかされることばかりでした。

「日本酒とワインの違いは、ワインは料理をより美味しくするためのもの」と髙橋さんは話します。参加者の前に並べられたおつまみとテイスティングに出されるワインの名前が書かれた紙に、講座開始前からわくわくした空気が室内には流れていました!

日本ではじめてワインが飲まれたのは何時代?

「日本ではじめてワインが飲まれた時代は?」そんなクイズから、講座はスタート!三択のクイズに参加者は思い思いに考えながら手を挙げていきます。答えはなんとおよそ6000年前の縄文時代。青森市の三内丸山遺跡や大館市の池内遺跡から当時のワインに関係すると思われる出土物が見つかったとのこと。縄文時代の人々は、山ぶどうを発酵させて催事の時などに飲んでいた可能性があるそうです。思わぬ歴史の深さに会場からは驚きの声が上がっていました。

小坂ワインは全て日本ワイン!

「日本ワインと国産ワインには大きな違いがある」と話す髙橋さん。まず、国産ワインとは海外から輸入したブドウや濃縮果汁を原料とし国内で製造されたもの。水で薄めたりすることもでき、輸入のバルクワインを日本で瓶詰めしたものも国産ワインと呼ばれるそうです。

それに対し、日本ワインとは国産ぶどうを100%原料とし水を一切使わず日本で醸造されたワインのこと。

また、ラベルに地名を入れる場合はその土地のブドウを85%以上使用しなければいけないそうです。例えば「大館ワイン」という名前のワインを作るには、大館市で栽培されたブドウが85%使用されていなければならないということ。ブドウの品種名が表記されたワインも同様に原料に特定の品種が85%以上使用しなければいけないと決まっているのだそうです。

「ワインを買う時にラベル表示をぜひ確認してください。」と髙橋さんは話します。
小坂ワインで製造されているワインは全て小坂町で栽培された山ぶどうを使用し、丁寧に醸造された日本ワインなのだそうです。小坂ワインのこだわりを垣間見ることができますね。

小坂町とワインの関係

小坂ワインの歴史は30年以上前、平成元年(1989年)までさかのぼります。鉱山産業の不況、そして鉱山依存の産業構造からの脱却を目指しはじまったワイナリー事業。

近代化産業遺産を活用し、鉱山の町から観光の町づくりへ。そして、未利用地を活用し農業振興と山ぶどう系品種の栽培開始。

山ぶどう系品種とは、野生の山ぶどうの病気に強く鮮やかな色と濃厚な風味という特徴をいかしながら日本独自のワイン専用種として、山ぶどうの父と呼ばれる故・澤登晴雄氏により約50年かけて品種改良された品種のこと。

小坂ワインは故・澤登氏の指導も受けながらワインと何の関連もなかった土地で一からワイナリーを創ったそうです。「小坂にワイナリーを作りたい!」という思いでぶどう栽培から始まり、およそ30年。町営ぶどう試験場において4haから始まったぶどう栽培ですが、現在は7haに及ぶと髙橋さんは話します。
現在の鉱山遺産とワイナリーの町は、こうした苦労と努力の成果だということが分かりますね。

そして、平成29年(2017年)10月に小坂七滝ワイナリーが完成!こちらは見学可能だそうです!

小坂ワインの最大の特徴は「和食に合うこと」

「和食に合うのが、最大の特徴」だと話す髙橋さん。例えば、ヨーロッパワインではお寿司と合わせると生臭く感じてしまうそうですが小坂ワインの場合は和食に合う銘柄が多いのだそうです。

小坂ワインの特徴
① 山ぶどう系品種にこだわった「日本ワイン」の製造
② ぶどう品種の特性を活かした醸造
③ 和食(繊細な料理)にも合う
④ 裏ラベルにソムリエコメントを記載

今回の講座でテイスティングした8種類の小坂ワインの裏ラベルは資料としてスクリーンに映し出されており、参加者は真剣にスクリーンを見ながら髙橋さんの説明に頷いていました。

そして、今回テイスティングした8種類はこちら!
① ワイングランド・ヌーヴォー
② 縄文ワイン ワイングランド
③ 小公子
④ ニホンヤマブドウ
⑤ ヤマ・ソービニオン
⑥ 岩木山葡萄
⑦ フリーラン・ロゼ ワイングランド
⑧ 月と滝ペティアン

一杯ずつ配られるごとにおすすめのおつまみが紹介され、参加者は食事とワインのマリアージュを楽しんでいました。マリアージュとは、料理とワインの組み合わせにより、美味しさを引き立てること。最初に髙橋さんが話していた「ワインは料理をより美味しくするもの」という言葉に改めて納得しますね。
会場では笑顔が多くみられ「美味しい…」とつぶやく声も聞こえてきました。

今年(2023年)小坂町で開催された日本山ぶどうワインコンクールにおいて、全国から集まったワイン103点(参加ワイナリー41社)の中で紫賞(Gold)4つのうちなんと2つは小坂ワイン!参加者からは拍手が沸き起こっていました!

小坂ワインの歴史やワイナリーに町づくりの想いを学んだ今回の講座。ワインのテイスティングも楽しみ、参加者からは笑顔がみられていました。

今回テイスティングした8種も含め、ワイナリーや鉱山事務所等で購入できるとのこと。特に鉱山事務所に数多くの種類を置いてあるそうです。
また、毎年10月(第2土・日)には小坂七滝ワインの創業祭としてワインイベントが開催されています!

改めて小坂町と山ぶどうワインの魅力を感じた時間でした!小坂町にワインを楽しみに出かけてみてはいかがでしょうか?

それでは、次の講座レポートでお会いしましょう!