TOPへ

講座レポート2024.02.13

【ウェルビーイング(幸せ)をデザインする「つながり」と「お金」の育て方】

しんしゅり
ライター:しんしゅり

人生100年時代、「うれしい」を積み重ねて幸せに生きていくコツ!

ウェルビーイングという言葉を耳にしたことがあるという方は多いかと思います。その一方で、その言葉の意味をよく知らない…という方も多いのではないでしょうか?

今回は大館市教育委員会(生涯学習課)主催の下、そんなウェルビーイングな生き方について一流の専門家から学びました!人生100年時代と言われる現代をどう生きていくことが幸せな生き方につながっていくのか?

2024年1月20日に開催された「ウェルビーイング(幸せ)をデザインする「つながり」と「お金」の育て方」についてレポートしていきます!

講師は、第一生命グループの一つである(株)第一生命経済研究所の研究理事を務められている村井幸博さん。
日本証券アナリスト協会検定会員、日本フィナンシャル・プランナーズ協会認定CFPの資格を保有するお金のプロフェッショナルです。

さらに第一生命グループでは機関投資家として外国債券、株式など様々な投資に長年携わり、資産形成・投資、金融リテラシ―等に関するセミナー等を担当。
「小難しいお金の話をわかりやすく!」がセミナーのモットーだと話していました。

実は昨年3月にも、大館学び大学にて講座を行ってくださっている村井さん。前回に引き続き参加してくださっている参加者も何人かいらっしゃっている様子でした!

そもそも、ウェルビーイングとは?

「幸せ」と翻訳されがちなウェルビーイングですが、いわゆるハピネスとは異なるものだと村井さんは話します。ハピネスは「やったー!」と喜ぶ時のような一時的なもの。それに対しウェルビーイングとは、その人が「幸せで満ち足りた状態」が長く平穏に続いていく状態のことを意味しているそうです。幸せとは主観的なものであり、人によってかたちは異なるもの。人によって幸せは異なると言われると、たしかに納得してしまいますよね。

ウェルビーイングには3つのキーワードがある!

人生100年時代と言われるほど、現代の生命寿命はのびています。そんな長い人生を送る上で大切になってくるのが今回の講座でもキーワードとなっている「健康・お金・つながり」です。

ウェルビーイングを体感できる暮らしの実現には、この3つがどれ一つとして欠けることなく、またそれぞれが大きくなるようなライフデザインを設計していかなければならないそうです。

「健康・お金・つながりをそれぞれ大きくしていくことで、フォローし合える」と村井さんは力説していました!

経済的なゆとり感は、より高い幸福度につながる

自分のライフデザイン(将来設計)を考えた時に、お金がどれくらい必要か?そのためにどうすれば良いか?「それが分かっている人のほうが不安は少なくてすみます」と村井さんは話します。
実際、ライフデザインが全くできていない人は経済的なゆとり感は31.7%に対して、ライフデザインがほとんどできていると答えた人は76.9%と倍以上の差があるのだそうです。

自分の将来を経済的に考えることが、不安が少なく穏やかな気持ちで生活できることが分かりますね。

人にとって、孤独は不健康につながるもの!

健康に生きていくためには、人とのつながりも外せない。
孤独は、1日たばこ15本、アルコール過剰摂取にも匹敵するとデータも出ているのだそうです。

健康というと身体的なものとして捉えられがちですが、それだけではなく精神的にも、また社会的にも全てが満たされた状態にあることだと世界保健機関(WHO)もまとめています。

「幸福度が高い人は、それなりに繋がりを持っている」と村井さんは話します。昔は大家族が多かったため、つながりを持てている人が多かったかもしれませんが、最近は益々核家族化が進み、特に高齢者に関しては独居の方が増加傾向と言われています。

村井さんご自身の父親との体験談を交えながら「ご両親や、祖父母の方も気に掛けてあげてほしい」と熱がこもる場面も見られました。

つながりのあり方は多様

つながりというのは、人によって多様で良いと村井さんは話します。たしかに、一人でいる方が楽という方もいますよね。友達を多くつくらないといけない…というものではなく、自分にとって心地良い状態が大切なのだそう。

その一方で、孤独にならないために家族だけではなく地域・趣味・職場などコミュニティとしての繋がりを持つことが大切だと重ねてアドバイスをしていました。

お金を育てることは、金融ウェルビーイングの実現に!

なぜ、「お金を育てること(資産形成・投資)が必要なのか」についても分かりやすく教えてくださいました!

まず金融ウェルビーイングとは、ウェルビーイングの中でも金融の話。「現在と将来に渡って経済的な健全性・安心感と人生を楽しむための選択の自由を確保すること」を意味しています。ここには4つのポイントがあると、村井さんは話します。

① 現在の安心・安全(家計管理)
② 現在の選択の自由(生きがい=やりたいことがやれているか?)
③ 将来の安心・安全(保険・資産形成=経済的なショックに対応できるか?)
④ 将来の選択の自由(ライフデザイン・資産形成)

この4つが満たされていると、客観的に見て金融ウェルビーイングは大丈夫と考えるのだそうです。

お金を育てて、人生の3大費用に備える!

人生の3大費用として、「子育て・教育、住宅、老後」を村井さんは説明していました。
子育て・教育、住宅に関しては、自分ごと化して計画的に準備することが必要であり、さらに老後を意識した資産形成が必要。例えば、老後に関して言えば資金準備の中心となるお金は年金になります。「年金定期便の確認や、公的年金シミュレーターを使って、将来自分がどれくらい年金をもらえるのか考えておいてください」と話す村井さん。

他人事ではない年金の話。参加者は真剣に耳を傾けていました!

投資でお金を「ふやす」

資産形成・投資を考える視点のポイントは、将来の円安・インフレのリスクにも対応する視点を持つということ。例えば、円高になれば預金が重要であり、逆に円安になれば株が重要になってくる!これから世界の経済が成長していくなら少し投資をしておいた方がいいと村井さんは話します。

人生の3大費用に備えた上で、投資で世界経済の成長による利益を得る(=お金を増やす)という考え方が重要なのだそうです。

メンタルアカウンティング(心の財布、心の会計)の考え方をもとに、お金を貯める仕組みづくりを学びました!人は自動的にお金が貯まる仕組みがないと、なかなか貯金はできないものなのだと村井さんは話します。その一方で、お金を分け予算化すると人はその範囲内で使おうとする傾向があるのだそうです。

この考え方を前提に「お金を貯める仕組み」として、下記を例に分かりやすく説明していました。

● 自動化、初期設定の工夫 → 給与天引き、口座引き落とし
● お得感の活用 → iDeCo、NISA、個人年金保険など
●「お金に鍵をかける」工夫 → iDeCo、制度・商品、口座を分けるなど

長期の目標でも小分けにして達成感をこまめに味わうことが大事!と村井さんは話していました。そういったハピネスの積み重なりがウェルビーイングになっていくのだそうです。

投資はできる範囲内で

投資あるあるとして、「短期・高値購入・集中」をあげる村井さん。ですが、投資の基本は、この3つではなく「長期・積み立て・分散」の3つ。投資あるあるは、人間の陥りやすい傾向ではありますが、「ふやす(リターン)」と「リスク」は表裏一体。
「安全な資産とリスクのある資産を分けて考えることが大切」だと村井さんは話していました。

iDeCoと新NISAを賢く利用する

税制優遇制度として注目され、利用者も多いiDeCoとNISA。新NISA(2024~)の話もふまえながら、それぞれのメリット・違いについても分かりやすく学びました!

まず、iDeCo・NISA、そして新NISAは税制優遇制度であるため運用益に対し税金がかかりません。ただし、NISAはあくまでも投資のための制度であるため投資が必要その代わりに解約自由iDeCoは所得控除のある年金としての制度と考えることができます。その一方で、原則60歳まで解約不可
そして新NISAについても、アドバイスがありました!

それぞれの優遇措置の違いや、自分自身のライフデザインに合った形で上手に利用できれば良いですね。

まずは一歩、踏み出してみて

「無理は禁物。その上で、まずやってみてほしい。」と村井さんは話します。資産形成・投資を始めていくには山があり、実行していくのは難しい。分からないことがあって当然。進んで下がって…でもいいから、まずやってみてほしい。

健康とお金、そして人とのつながりを少しずつ大きくしていくことでウェルビーイングが繋がっていくと村井さんは締めくくっていました。

会場からは拍手があがり、講座後も思い思いに村井さんに挨拶しに行く参加者が見られました。

では、次回のレポートでお会いしましょう!