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講座レポート2024.10.08

【ハンターから学ぶ】知られざる猟師の世界

ふくだみのり
ライター:ふくだみのり

人気漫画やゲームの題材に使用されるなど、見聞きする機会が多い「猟師」や「ハンター」という職業。
身近な言葉でありながら、実際の活動内容まではあまり知らない人が多いのではないでしょうか。

今回は2022年10月30日(土)に開催された『【ハンターから学ぶ】知られざる猟師の世界』の様子をレポートしていきますよ!

全国的にハンター人口が減少している一方で、近年は猟友会の会員が増えている北鹿(ほくろく)地方。
自然と共生してきた狩猟文化に根付く、奥深いハンターの魅力を学ぶきっかけがありました。

猟師の世界へようこそ

講師を務めたのは、大館市猟友会中央支部の支部長として活躍する現役猟師の小林儀貴(こばやしよしき)さん。
普段は団体職員の仕事をしていますが、猟期に入ると週末ハンターとして活動します。

平成28年の春から大館市内や中心部への熊出没が相次ぎ、小林さんの勤務先である児童福祉施設の通学路でも熊が目撃されました。
その出来事をきっかけに、紆余曲折を経てたどり着いたのが猟友会。
もともと鉄砲の許可を取って狩猟をしたいと思っていた小林さんは、思い切って取得に踏み切ったと話します。
自ら狩猟を行う傍ら、大館市の新たなハンターの確保や育成にも取り組んでいるそうですよ!

ハンターになるにはどうすればいいの?

ハンターになるには、始めに「銃砲所持許可証」を取得する必要があり、所持できる銃砲は下記の4種類に分かれます。
①ライフル銃
②散弾銃
③ライフル銃および散弾銃以外の猟銃(ハーフライフル銃)
④空気銃


銃の用途は、標的射撃(スポーツ射撃)・登録狩猟・有害鳥獣駆除の3種類に限定されているみたいですよ!
また銃砲所持許可制度は免許制度とは異なり、1銃1許可制のため、銃器一丁ごとに許可が必要になるのだとか。
運転免許証は、取得した免許の種類に合わせてどのような自動車でも運転できますが、許可された銃は本人しか触ることができないため、当然誰かに貸すことも禁止されています。
銃を所持するだけあって、制度の厳格さがよく分かる場面でした。

ほかにも銃砲所持許可を取得する上でかかる費用や、銃砲以外に必要な用品についても説明がありました。
必要とされる用品にはさまざまな種類がありますが、銃を収納するガンロッカーと、実包を保管する装弾ロッカーは必須のため、あらかじめ準備していないと申請許可が下りないそうです。

併せて銃砲所持許可申請の手順についても、図を用いて分かりやすく説明してくれました。

初心者講座を擬似体験!

警察本部が実施する初心者講座を受講すると、講習後に試験が行われるそうです。
試験問題は全部で50問あり、45問正解で合格なのだとか!
「なかなかハードルが高いと思われますが、インターネット上にも問題が出ているので、事前に予習して勉強することが大事」だと、小林さんは話します。

おおよそのイメージを掴むために、いくつか例題を解いていきました。
【例題】技能検定を受ける者は、技能検定を受けるために射撃場の猟銃を持つことができる

問題はマルバツ式で解答するのですが、ひとつの問題に対して真剣に考える受講者の様子が伝わってきます。
ちなみに上記例題の答えは丸でした!
無事試験に合格すると、講習修了証明書が交付されます。

申請から銃砲所持許可取得までの流れ

試験内容について学んだあとは、秋田県を例に挙げて、提出が求められる書類や各種申請書、補助金について説明がありました。
警察の生活安全課による聞き取り調査も行われるそうで、念入りな確認が行われることがよく分かります。

小林さんが上記画像で手にしている許可証を取得するまでには、申請期間を含めて5カ月と8日かかったそうで、実際に銃の所持許可が下りたとき、小林さんは「生活面でもより一層の立ち振る舞いが必要になる」と感じたそうです。

鳥獣判定や猟友会への入会

講座の後半では、イメージ動画を見ながら狩猟しても良い鳥獣の判別試験を疑似体験しました。
短い時間内で狩猟しても良い動物と、してはいけない動物を見極める判断力が試される試験で、初心者講座後に実施される試験と同様、何度も復習することが大事なのだとか。

そのほか猟友会への入会手続きの紹介もありました。
事務手続きの代行や各種イベントに参加できるなど、入会するとさまざまなメリットがあり、入会しないまま狩猟活動を行うのは難しいと話します。
会員全員が、大日本猟友会が創設した「狩猟事故共済保険」の加入者になるため、狩猟登録時に必要な3,000万円以上の損害加入条件を満たすことができるそうですよ!

猟銃だけではない、わな猟の奥深さ

所持できる銃砲は4種類あることを初めに学びましたが、狩猟は何も銃砲だけに限りません。
鹿の生け捕りや、駆除目的で捕獲したイノシシの動画を見ながら、わな猟における工夫や設置場所について学びを深めます。

小林さんが行っている有害鳥獣駆除活動の紹介もあり、実際に捕獲したカラスやツキノワグマの姿も見ることができました。
熊の解体方法や、熊肉を使った料理の写真もあり、「大事な命をおいしくいただく」と言う小林さんの言葉が印象的でした。

狩猟活動を通じて、地域貢献したいと意気込む小林さん。
「狩猟に興味を持ってもらえるような広報活動を継続し、一緒に活動できる仲間を増やしたい」と話します。

猟師の仕事をより身近に感じられた本講座。
興味のある方はぜひ検討してみてくださいね!
それでは、また次のレポートでお会いしましょう!