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講座レポート2024.10.07

【近隣市町村から学ぶ地域活性化】鹿角市へ移住し起業&燻製の魅力

彩
ライター:彩

燻製屋猫松に学ぶ
仕事として、趣味としての燻製

アウトドアブームのなか、キャンプ飯として脚光を浴びる燻製。ホームセンターでは燻製のための調理器具が並び、作り方を紹介する動画もたくさん配信されています。
「自分でも燻製を作ってみたい!」と考えている方も多いのでは?

ひと口に燻製と聞いて、皆さんがイメージする食べ物はなんでしょう?
スモークチーズやサーモン、ベーコン、ナッツ…そして、忘れてはいけない、秋田の郷土食、いぶりがっこ!

今回は、2024年1月19日に開催された「【近隣市町村から学ぶ地域活性化】鹿角市へ移住し起業&燻製の魅力」をお届けいたします。

秋田暮らし、燻製の広がり

会場のMARUWWA三角にて開催された講座は、燻製屋猫松を営む松村託磨さんが講師として登壇。
松村さんが「皆さんが今日の講座に参加した目的は?」と参加者に問いかけると、全員が「燻製について知りたい」と回答。松村さんは「燻製の魅力を伝えること」と「みなさんと交流すること」と話します。

大阪生まれの松村さんが秋田県鹿角市に移住したのは2015年。地域おこし協力隊着任がきっかけです。燻製との出会いは移住より以前、2009年にさかのぼります。自宅のベランダで初めて作ったのは、たくあんとウィンナーだったそう。
2016年には、新たな起業(アントレプレナーシップ)のあり方を探究する実践型プログラム「ドチャベン2019」にて、ビジネスプランが好評を得ました。2018年松村さんは協力隊の任期終了後、移住をサポートするNPO法人かづのclassy事務局に入社し、「燻製屋猫松」を起業します。翌年からはNPO法人の事務局長を務め、本格的な複業生活が始まりました。

猫松初めての商品は、キャラメル風味の燻りナッツだったそう。燻製と聞くとお酒のおつまみというイメージが強いのですが、キャラメルフレーバーなら、コーヒーブレイクに良さそう!なこの商品は、行きつけの喫茶店から「コーヒーに合う燻製を」という宿題がきっかけで生まれました。
松村さんの燻製ラインナップは広がっていきます。その年ごとにテーマを定めるという松村さんは、農業法人と手を組んだ燻り大根、ピスタチオなどの新商品を作り…道の駅おおゆへの出店や、自社ECの開店など、ビジネスも拡大します。

実際に燻製を作ってみよう!

燻製の主な工程はこちら。
①下処理(味付け…乾塩法もしくは湿塩法)
②風乾
③燻煙
④風乾
⑤包装

今回の講座では、③燻煙の工程を実際に体験しました。①下処理での味付けはせず、既に味がついている、市販のチーズとウインナーを用意してくださいました。出来合いの食品の追い燻は、初心者にもおすすめしたいとのこと。

追い燻の体験には、松村さん持参の金属製の燻製器を使いました。その他燻製のための道具として金網をつけた小さな土鍋、ダンボールや木製燻製器を教えてもらったほか、それぞれの価格帯、メリットの説明もありました。

<燻製体験メニュー>
食材:市販のチーズ、ウィンナー
道具・材料:ステンレス製燻製器、温度計、カセットコンロ、アルミホイル、風除け、スモークチップ、ステンレスバット(チップ用)

燻製器の中は棚状になっており、参加者が食材を置いていきます。燻製器の下にはカセットコンロをセットしました。熱源には、下記のようなものも。

・スモークチップ
・ウッドバー(木材の粉末を圧縮し、棒状やブロック状に固めた燻煙材)
・電熱器
・炭火

今回はチップを使いましたが、講座の前は、スモークチップを直接燃やして燻すものと想像していましたが、これはNG!チップはバットなどの容器に移し、間接的に温めるものだそう。
熱源と食材の間にはアルミホイルを敷き、火、熱の直撃により引火、炎上しないようにします。燻製器に付けた温度計の目安は約80〜100度。早く温度を上げたい!と焦って火力を上げないのもポイント。基本は弱火。まずはじっくりと温めます。一定の温度を保つことで、色の仕上がりも綺麗になるそう!

燻製を趣味として深める

燻製器の温度が上昇するとともに、チップから出る芳香が漂います。温度計を見つつ、香りが消えていないか、焦げ臭くなっていないか、なども気をつけて燻製します。

今回体験したチーズ、ウィンナー以外に、初心者が自宅でも挑戦しやすい燻製にはこんなものも。

・出来合いのものの追い燻(ジャーキー、ハムなど)
・調味料(オリーブオイル、ブラックペッパー、オリーブオイルなど)

完成した燻製は綺麗な褐色!調理前のチーズとも並べて記念撮影。燻製とはワインやビールなどのお酒のほか、コーヒーも相性がいい、と教えていただきました。

参加者全員が燻製作りは初体験でしたが、松村さんは燻製を「趣味として深みがある」と話します。趣味から始まり、独学で習得した燻製。松村さんは以前より「起業」が頭にあったそうですが、自分がずっと秋田にいるとは考えていなかったそうです。地域おこし協力隊をステップとして、アイディアを試験的に走らせました。

燻製を美味しく・楽しく・わかりやすく

年々商品ラインナップが広がる猫松。ターゲットの食材を見つけるポイントは?
①日持ち
②猫松としての特徴が出せるか

先日、インターンの学生さんからアイディアが出たレーズンを試作したそう。今後の新商品も楽しみです。燻製屋猫松のサイトは、通信販売にも対応しています。皆さんもぜひご覧ください。

松村さんの奥様が運営するウェブサイトくんせい幼稚園を紹介してくださいました。「燻製を美味しく・楽しく・わかりやすく!」解説したサイトで、初心者への調理ポイントも掲載されています。ちなみにネーミングの由来は、猫松の工房が元保育園だった場所を使っているからだそう。道具や材料も詳細に紹介されていますので、燻製作りを始めたい方には必読のサイトです。

それでは、次の講座レポートでお会いしましょう!

燻製屋 猫松(通販対応可)
https://www.nekomatsu.jp/

くんせい幼稚園
https://www.kunsei-youchien.com/