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講座レポート2025.10.22

管理栄養士から仕事と健康を学ぶ

 今回の講座は今年度初めてのお仕事講座で、「管理栄養士から仕事と健康を学ぶ」と題し、大館市特別養護老人ホーム つくし苑勤務の管理栄養士 明石淑子さんをお招きし、実際の仕事内容、健康管理についてお話していただきました。

 明石さんは、高齢者の保健事業と介護予防の一体的事業をメインとしているそうで、はじめの頃は高齢者対象の仕事は“未知の世界”でしたが、仕事を続けるうちに“エビデンス(科学的根拠)”が出ていることが多いと話します。

管理栄養士・栄養士 どんな仕事?

 管理栄養士・栄養士は“栄養”の力で人々が健康に幸せになれるようにお手伝いをする専門職です。

 働く現場は多岐にわたりますが、『管理栄養士になりたい』と聞くと、給食のおばさんを連想する人が多いらしく、世間の認識はまだ低いようです。
 実際は、給食の栄養教諭として給食センターの管理等をし、その他、スポーツ栄養、社食の運営、行政、地域等でも働いています。

 管理栄養士は“食事摂取基準”に基づき、食事摂取基準カロリー、たんぱく質、塩分などの計算をします。
 また、“食品成分表”も栄養計算を行うために必須だそうです。
 近年は、パソコンでデータ管理がされているそうですが、学生時代は厚い冊子を手にとり、1ページ1ページめくって調べていたとのことでした。

 食事摂取基準の活用については道路のセンターラインに置き換えて、センターラインを知っていれば交通事故を防げるように、食事摂取基準を知っていれば、健康を維持しやすいのでは、と教えて下さいました。
 また、書かれていることを守らなくてもすぐ変化が出るわけではないけれど、長い時間の間に変化がでるので、摂取基準を参考にしつつ食べるものについて自分で決めることが大切とのことでした。

 大館は家庭菜園や畑で野菜を収穫されている方も多く、夏はトマトなど、野菜は多く摂れていると思いがちですが、季節によって種類や収穫の量も変わり、毎日食べられるわけではありません。
 食事全体で、“塩が多く、野菜が足りない”ことを意識し、足りないところを補う必要があります。冷凍野菜の活用もおすすめとのことでした。

秋田県民の食生活指針、大館市食育推進計画の紹介

 秋田県及び大館市では、健康を維持するための食生活指針、食育推進計画を作成し広く県民、市民にお知らせしています。
 皆さんも、機会があったら一度調べてみてください。
 計画のなかでは減塩に関することが多く報告されています。

 ここで問題です! 生きていくのに必要な塩分量は?
 ①1.0g  ②1.5g  ③3g 答えは①1.5gだそうです。

 県民、市民は約10gもの塩分を摂取しているようで、減塩の目標は約7gとして勧められています。
 〇注目→ラーメンの汁まで飲み干したら、1杯で塩分約7〜8gの摂取
 麺類の汁を残すだけでも、2g以上の減塩になります!

 また、高齢者にはダイエットは勧めず、食べてもらうことが大事とのことです。
普通の食事でも不足しているものとして、 食物繊維、ビタミンD、カルシウムなどが上げられるそうです。
 現状を見ると、1日3食未満、働き盛りに多い暴飲暴食など、各世代に色々な課題があり、世代間によって違いがあり、世代により目指す食生活は違うことも意識することが大切とのことでした。

情報の整理が大切

 現在、食事についての思い込みも含まれた色々な情報が飛び交っています。

 ✔️このような言葉に要注意 : 「○○を食べたら○○に効く」

 言葉のマジックは判断が難しいところ。色々な考え方がネットで拡散でき、され得る今、情報の整理が必要で“本当にこれは正しいのか”と思い留まることも大切です。

 世界でも、生活習慣病の危険因子の中に食塩の過剰摂取が入っており、日本では1位に上がっています。情報を自分でキャッチし、食塩は意識して食べましょう。

最後の食事

“最後の晩餐は何を食べたい?”

 良く耳にする問いですが、何の意識もなく食事をした場合、最後はソフト食やミキサー食になるのが現実です。治療としてではなく、いろいろな栄養管理から自分に合ったものをセレクトし、自身の食事に取り入れることで、最後の食事も美味しく食べることができるかもしれません。

管理栄養士の視点で勧める健康管理のポイント
☑︎販売文句、魔法の言葉に要注意!「コレステロール0等」
☑︎食塩は摂りすぎないように、意識して食べる
☑︎食事は、最後まで元気で食事ができるようにするための“アイテム”!

 今回の講座では、なかなか聞くことができない管理栄養士の視点での健康のお話を聞くことができて、受講者の方々は目から鱗だったようです。

 筆者も“管理栄養士監修”などの言葉を見かけることがあり、その他健康に良さそうなキャッチフレーズが書いてある商品等を、何も疑わず選びがちですが、もう一度自分で何を意識して食生活に取り入れるか考えようと思いました。

 この講座を通じて、さらに管理栄養士や健康への関心が広がり、生涯健康な生活をし、食べることを楽しめる方が増えてくれたら嬉しいです。

⭐️受講者からの感想

・健康に暮らすために、減塩を意識していきたいと思いました。ありがとうございました。
・知らないことを知ったことで、今後の生活を意識して過ごすきっかけになった。楽しく学べたことがとても良かったです。
・栄養について自分の思い込みがあった事に気づかされました。1時間半、とても参考になる研修でした。