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講座レポート2022.10.11

【クリエイター×ビジネス】音楽を仕事に変えるオリジナリティとは

ふくだみのり
ライター:ふくだみのり

ギターを片手に語り合う、音楽と大館の可能性

10月に入り、朝晩の寒暖差が大きくなってきましたね。
この時期は「読書の秋」「食欲の秋」「スポーツの秋」などがよく取り上げられますが、中でも身近に感じるのは「芸術の秋」ではないでしょうか。
芸術にもさまざまな種類がありますが、音楽も外せないひとつです。

今回は2022年10月1日(土)に開催された『【クリエイター×ビジネス】音楽を仕事に変えるオリジナリティとは』の様子をレポートしていきますよ!

音楽が好きで興味がある方はもちろんですが、音楽に関わらず、クリエイティブな活動を行っている方にも心に響く学びが詰まった内容でした。

二人を結びつけたのは、きりたんぽ?

講師を務めたのは、ミュージシャンの三浦栄一(みうらえいいち※画像右)さんと、音楽クリエイターの日景健貴(ひかげけんき※画像左)さん。
大館市を拠点に活動するポップスデュオ 「ダックスムーン」のシンガーである三浦さんは、学校や地域の記念曲のほか、JR大館駅の発車メロディーである「きりたんぽ物語」や「ハチ公物語」など、市民に馴染みのある曲を手掛ける一方で、秋田大学客員教授としても活躍されています。

秋田県出身の日景さんは、1stアルバム「美的情操」の収録楽曲が化粧品店や映画館「御成座」のイメージソングに採用され、現在は各音楽ストリーミングサービスにて2ndアルバム「Localize」を配信中。
2022年10月公開のドキュメンタリー映画「木樵(きこり)」のテーマ音楽を書き下ろすなど、クリエイターとして幅広く活躍されています。

世代も大きく異なるお二人ですが、初めての出会いの場は「本場大館きりたんぽまつり」だったそうです。
大学生だった頃の日景さんが、アカペラサークルとしてステージ出演していたところに、同じく出演していたダックスムーンに声をかけられてセッションしたことが始まりだったのだとか。

当時会場でセッションした「きりたんぽ物語」を、日景さんのボイスパーカッションに合わせて三浦さんがギターを片手に歌い上げ、会場は一気にしっとりとしたムードに包まれました。

音楽と出会い、始めたきっかけ

音楽とはほとんど無縁の生活を送っていたという日景さんですが、シンガーソングライターの秦基博さんの楽曲に衝撃を受け、2013年から独学でギターを始めました。
大学卒業後はWebデザイナーとして、音楽アーティストのホームページを制作する傍ら、趣味で続けていた音楽をYouTubeにアップロードしたり、ギター教室も開いていたそうです。
その後、趣味の延長で作った楽曲が化粧品店のイメージソングに採用されたことがきっかけとなり、この道に進んだと話します。

三浦さんが音楽を始めたきっかけの中でも、大きな要素となったのは家族・先生・友達だったそうです。
中学校の音楽の授業で、緊張しながらもクラスメイトの前で初めて歌った際に、先生が言ってくれた「歌は口だけで歌うものじゃないよ。三浦君を見てごらん」という言葉が胸に染み込み、高校生になってからギターを始めたと話します。

自分自身を発信できる場が多様な現代とは違い、三浦さんの時代は音楽コンテストで優秀な成績を収めるか、ライブハウスで音楽関係者の目に留まるかのどちらかが、プロになる条件だったそうです。
時代によって全く異なるプロセスがよく分かる場面でした。

趣味として続ける音楽と、仕事として続ける音楽

ここで話題は趣味と仕事の違いに移ります。
「誰かのニーズを満たすために、自分の好きなものだけを作るのではなく、仕事に関わる人たちの思いを汲み取ることが必要」だと話す日景さん。
日景さんの話にうなずきながら、「趣味の場合は自己満足でできるけど、仕事となるとプロとしての責任が伴ってくる」と、自身の音楽活動やラジオ現場のエピソードを交えて三浦さんも話します。
またダックスムーンで曲を作る際は、聞き手の心の琴線に触れる音楽作りを意識しているそうで、実際に一曲演奏してくれました。

歌の力で目指す、地域活性化

大館が好きで、この場所で音楽を続けたいと話す日景さん。
今後の抱負は「ファンと呼べる人を増やすこと」なのだとか。
これからもSNSを活用して、自分の影響力を高めることで町を活性化することが目標だと話します。

三浦さんは「出会いこそが人生を紡ぐ」ことを最近特に感じているそうで、そんな人たちの心に響く曲を作り続けていきたいと話してくれました。

星を見上げたくなるような、ぜいたくなコラボレーション

講座の最後には、サプライズで坂本九さんの「見上げてごらん夜の星を」をコラボレーションで歌ってくれました。
お二人の美しいハーモニーにみなさん体を揺らし、うっとりとした様子で聞き入っている様子がひしひしと伝わってきましたよ。

「またこうして顔を合わせる日を楽しみに」という言葉で締めくくられた本講座。
お二人が音楽に込める想いやメッセージや、職業としての音楽活動について深く学ぶことができました。
お二人の楽曲に耳をすませながら、秋の夜長を過ごすのも一興ですね。

それでは、また次回のレポートでお会いしましょう!