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講座レポート2024.10.07

【ファシリテーション】会議を円滑にする進行スキルを学ぶ

もも
ライター:もも

会議やワークショップを“良い話し合いの場”に

せっかく会議を開いたのに話がまとまらない。PTAの話し合いで意見が出ない。いつも決まった人しか発言しない…。
そんな話し合いの“あるある”に悩まされた経験がある人は多いのではないでしょうか?

今回は、2023年6月18日(日)に開催された『【ファシリテーション】会議を円滑にする進行スキルを学ぶ』の様子をレポートしていきます!

会議やワークショップを円滑に進行する技術として注目されている「ファシリテーション」を活用した、すぐに生かせるコミュニケーションのテクニックが盛りだくさんでしたよ!

ファシリテーションとは?

講師は、まちづくりファシリテーターの平元美沙緒(ひらもとみさお)さん。秋田県内のまちづくりワークショップを中心に、ファシリテーター及びグラフィック・レコーダーとして活躍しています。

皆さんは「ファシリテーター」とは一体何をする人なのか知っていますか?
会議やワークショップなどの話し合いの場で、司会進行や話をまとめる技術を「ファシリテーション」といい、ファシリテーションを活用して話し合いのお手伝いをする人を「ファシリテーター」といいます。

平元さんは、地域活動やまちづくりに関することを専門としているファシリテーターなので、「まちづくりファシリテーター」と名乗っているのだそうです。

ちなみに、グラフィック・レコーダーとは、会議の内容を、絵や図形などのグラフィックを用いてリアルタイムにまとめる「グラフィックレコーディング(通称・グラレコ)」をする人のこと。
この日は、平元さんによるグラレコの様子もリアルタイムで見ることができました!

和やかな雰囲気をつくる準備

平元さんから本日の流れと目的の説明を受けた後は、2色のふせんを使ったアイスブレイク、A4用紙を使った自己紹介(チェックイン)と続きます。

グループワークの前のほどよいコミュニケーションで、会場内はすっかり和やかな雰囲気に。
実は、このアイスブレイクやチェックインも、すべてファシリテーションのスキルを活用しているのです。

会議の“困ったあるある”を共有

続いて、職場の会議や打ち合わせ、地域の会合などでよく遭遇する“困ったこと”を各自出し合います。

それぞれから出された“困ったあるある”は、平元さんがグラレコでまとめてくれました!

こうして書き出してあるととてもわかりやすいですね!

「結論が出ずに終わってしまう」
「なかなか意見が出ない」
「話がズレていく」
「同じ人ばかり発言する」
「終盤にやっとヒートアップして時間が足りなくなる」

など、誰もが共感するようなことばかり。思わず「あるある!」と共感の声が上がります。
平元さんいわく、実は子どもや高校生に同じワークをやっても、大体同じ課題が出るのだそうです。

会議を“良い話し合い”にするためには、これらの課題をクリアしていくことが必須。ファシリテーションのスキルがそのヒントになります。

ファシリテーションの4つのスキル

ファシリテーションには、以下の4つのスキルがあるそうです。

①場のデザインのスキル
…目的に合わせて場の雰囲気を作る

②対人関係のスキル
…意見を引き出す

③構造化のスキル
…意見を整理する

④合意形成のスキル
…意見をまとめる

この講座にも、4つのスキルを使った工夫がたくさん仕掛けられていました。

会場内に用意されたおすすめの本コーナーやドリンク、最初に行ったアイスブレイク、少人数でのグループワークなどは、すべて意見を出しやすい雰囲気をつくるために工夫されたもの。

グラレコも、各自の意見を「見える化」して整理し、まとめることができるので、とても役立つのだそうです。

ファシリテーションスキルの活用例

では、先ほど挙がった数々の悩みをファシリテーションのスキルで解決するには、どうしたらいいのでしょうか?
ここで平元さんが、実際に行われた事例を交えながら説明してくれました。

例えば「場の雰囲気が悪い」という悩みの解決策は「安心安全な場を作ってからスタートすること」。
肩書きと関係ない項目を盛り込んだ自己紹介を行ったり、テーマにちなんだ美味しいものを食べたりと、アイスブレイクを入れることで和やかな雰囲気を作ります。
何よりも、「笑顔で機嫌よく迎えることが一番のアイスブレイク」だと平元さんは言います。

また、「意見が出ない」または「同じ人ばかり喋る」という悩みに対しては、「人を変えるのではなく、システムを変える」という考え方が有効です。
例えば、事前に書く時間を取る方法。書いてから話すことで、短時間で説明しやすく、みんな平等に時間を取ることができます。

他にも多くの具体的な事例を紹介してもらい、みんな頷いたり感嘆の声を上げたりしながら、とても真剣に聞いていました。

良い話し合いをするには?を考える

続いて、3人ずつに分かれてのグループワークです。
良い話し合いをするには?」を課題に、先ほど挙げた“困ったあるある”を元に話し合い、最終的に意見を3つにまとめます。
メンバーの中で「ファシリテーター」「グラフィックレコーダー」「隠れファシリテーター」の役割を決めることがポイント。

それぞれが自分の役割を果たしながら意見を出し合い、どのグループも時間ぴったりにきちんと3つにまとめられていました!

ファシリテーションを取り入れるポイント

ここまで、ファシリテーションによる“良い話し合いの場”をしっかりと体感したものの、実際に普段の環境に取り入れるのは案外難しいことも多々あります。
そこで、平元さんが気軽に取り入れやすいポイントを教えてくれました!

①まずは形から入る!道具のお話
字が見えやすい太いマーカーやふせん、ホワイトボード代わりになるA4の紙を用意しておくと何かと使えるそうです。

②会議の冒頭で、「今回の課題と次回の課題」を書く。
会議室に入ったら、「今日は何を話すんでしたっけ」と、ホワイトボードに課題を書く。

③議論が止まってしまった時には「ここまでの話まとめてみてもいいですか?」「○○さんはここまでの話どう思いますか?」
その時話していた内容にこだわらず「ここまでの話で」と大枠で話を振ることで、意見を言い出せずにいた人から話を聞くことができることも。

④話がズレていってしまいそうな時には、「肯定」→「見える化」
「その話すごく大事そうですが、今は時間がないのでメモしておいて、時間が余ったら話しましょうか」と提案することで、角を立てずに話を前に進めることができます。

などなど、明日から早速使いたいテクニックばかり!

会議の場だけでなく、コミュニケーション全般において勉強になる1時間半。ファシリテーションスキルを生かした場づくりのおかげで受講者たちもすっかり仲良くなり、会場は最後まで和やかな雰囲気でした!

ではでは、また講座レポートでお会いしましょう!