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講座レポート2024.10.07

【実践できる心理学】職場や私生活でのコミュニケーションをスムーズに

ふくだみのり
ライター:ふくだみのり

心理学をヒントに育む豊かな人間関係

講師の伊藤孝子さん

日常生活のあらゆる場面で必要とされるコミュニケーションスキル。生きていく上で欠かせないスキルだからこそ、他者との接し方で悩まれている方は多いのではないでしょうか?

今回は、2023年8月19日(土)に開催された『【実践できる心理学】職場や私生活でのコミュニケーションをスムーズに』の様子をレポートしていきます!

講師は、心を育むここはぐラボ代表の伊藤孝子(いとうたかこ)さん。ポジティブ心理学や心理カウンセラー、ウェルビーイングコーチなど、さまざまな資格を生かして活躍されています。

伊藤さんによる1回目の講座:2023年6月18日(日)開催【仕事や生活に生かせる】ウェルビーイング・幸福感を高める心理学の講座レポートはこちら

なぜ人間関係で悩むのか

人間関係で悩む理由について説明する講師

まずは、コミュニケーションにおいて多くの人を悩ませる“人間関係”について、悩んでしまう理由をグループワークで話し合いました。話し合いでは、「良かれと思ってしたことが相手に届かなかった」「相手が何を考えているのか気になってしまう」「相手が求める結果を出せなかった」など、受講者ごとにさまざまな意見が出てきます。

人間関係に悩む理由に正解はありませんが、伊藤さんは全ての悩みは対人関係にあると話します。“高度なコミュニケーションが人類の歴史を変えたこと”に加えて、“コミュニケーションの不安は社会的な生物ゆえの本能”であることを説明してくれました。

コミュニケーションの重要性

講師の伊藤さん

“対人間での情報共有や意思の疎通”を図るために行うコミュニケーションは、大きく分けて以下の3つの役割があると考えられているそうです。

①信頼関係が構築される
②精神的な安心感で満たされる
③仕事や生産性の向上で貢献できる

また、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱した「マズローの欲求5段階説」を用いて、集団所属を求める“社会的欲求”と他者からの承認を求める“承認欲求”は、他者の存在が不可欠であることを説明してくれました。

併せて、幸せの大敵は“孤独”だと話す伊藤さん。コロナ禍において、他者とのつながりで人の幸福感が高まることを実感したそうです。

バランス良くつながることで高まる幸福感

ウェルビーイングについて解説する講師

1946年の世界保健機関(WHO)設立時に登場し、日本でも近年注目されているウェルビーイング。健康とは、病気ではないとか弱っていないということではなく、心理的・身体的・社会的に全てが満たされた状態であることとして定義しています。

ウェルビーイングの実現において大切なのは“つながり”で、つながり方には多様な人々と広く浅くつながるものと、身近な人と濃くつながるものがあると伊藤さんは話します。片方だけにかたよることなく、どちらもバランス良く持つことが大事なのだそう。対面やオンラインなど、つながりのバランスを意識しながら過ごすことをオススメしていました。

共感して一緒に喜ぶ

ウェルビーイングについて解説する講師

ここからは、良いつながりの築き方について話がありました。カリフォルニア大学サンタバーバラ校のゲーブル博士が行った実験によると、良いつながりを築くには相手の良いニュースに対する聞き手の反応が大事な要素であるといいます。

「積極的・破壊的」「消極的・破壊的」「消極的・建設的」「積極的・建設的」の4種類に分けられた反応の中で、私たちが目指すのは関心を持ち一緒に喜ぶ「積極的・建設的」だと話す伊藤さん。手が離せない状況だとしても話を聞くことを断らず、「そうなんだ!ゆっくり聞かせて」というように相手の話を受け止めることが大事だと話します。共感して一緒に喜ぶスキルが良いつながりづくりには欠かせません。

心理的安全性でコミュニケーションを円滑に

講座の様子

コミュニケーションの基本となる要素は、伝える力(言語)、聞く力(言語)、伝える力(非言語)、読み解く力(非言語)の4つであると話す伊藤さん。それらを踏まえた上で、コミュニケーションを円滑にする3つのコツを教えてくれました。

①自己開示(心の扉を開く)
②相手を尊重(批判しない)
③話しやすい雰囲気を作る(相槌、うなずきなど)

また、心と体はつながっているため、笑いながら怒ったり、怒りながら笑うことは難しいと話します。実際に受講者も実践してみますが、皆さんかなり苦戦している様子でした……!

メモをとる受講者

講座の終盤は、さまざまなグループワークを実践しました。特定の人物を一人思い浮かべ、その相手の良いところを挙げて「〇〇してくれてありがとう!」と感謝の気持ちを共有するワークでは、思いを伝達することで自身もポジティブになる過程を体験しました。“ありがとう”の気持ちを伝える感謝ワークは、家庭や職場などでも気軽にできるのがうれしいポイントです。

スムーズなコミュニケーションのとり方について、グループワークを交えながら終始和やかな雰囲気で進められた本講座。最後は「一度きりの人生なので、今日から実践して幸せになりましょう」という伊藤さんの言葉で終了しました。明日と言わず、ぜひ今日から実践していきたいですね!

ではでは、また講座レポートでお会いしましょう!