TOPへ

講座レポート2024.10.07

【冬の保存食と地域資源の有効活用】放置柿から地域課題解決&干し柿を作ってみよう!!

しんしゅり
ライター:しんしゅり

全身オレンジ色の柿木さんが語る! 放置柿の活用とビジネスについて

民家の庭先に収穫されないままの柿が沢山なっている…という光景を誰しも見かけたことがあるのではないでしょうか?今回の講座のテーマはそんな「放置柿」と「地域課題」について。

12月11日に行われた「冬の保存食と地域資源の有効活用 放置柿から地域課題解決&干し柿を作ってみよう」をレポートしていきます!

講師は、「畑がない農家」柿木崇誌さん。広島県生まれ広島育ちで、全国を旅する中で奥様と知り合い結婚を機に4年半前に秋田県に移住されたそうです。放置柿を地域課題解決に繋げている事業をテレビ番組や新聞に度々取り上げられており、柿を思わせるオレンジ色の衣装と帽子を目にしたとのある方も多いのではないでしょうか?

イベント等で「お好み焼きカッキー」のお好み焼きを味わったことのある方もいらっしゃるかもしれません。
今回の講師はそんな「カッキー」の愛称で人気の柿木さん!
「柿木(かきのき)は芸名ではなく本名です」と話すと講座参加者から笑い声が上がる場面も見られていました!

放置柿と地域課題の解決

柿木さんは地域資源の有効活用を目的に、放置された柿の収穫・加工・販売を行っているそうです。放置柿を活用することは、鳥獣対策をはじめ柿の落下による異臭問題や近所迷惑などの問題解消など様々な地域課題の解決に繋がるのだと柿木さんは話します。

人口減少の進む秋田県では空き家の放置も年々増加しており、それに伴い地域課題も増加しているそうです。この空き家数の推移は1978年から2018年の40年間でなんと3.78倍。その一方で、秋田県の柿の収穫数は2009年から2020年の12年間で69.3%も減少。

空き家の庭には、収穫されないままの放置柿があることも。そして、この放置柿は鳥害や獣害の原因になっており、さらに放置柿もまた空家数同様に年々増加傾向にあると柿木さんは話します。

獣害といえば今年の秋田県は特に熊の出没・被害情報を度々テレビや新聞で目にすることも多かったですよね。実際、今年は柿木さんのもとに「熊が出るから柿の木を伐採してほしい」と依頼が入ることが多かったそうです。
たしかに高齢化が進む秋田県において、「柿の木を収穫できないから伐採を…」と考える方が多いのも仕方ないのかもしれません。

そんな現状に対し「柿を収穫できない家主に代わって収穫し、独自加工・販売し地域課題解決と特産創出に取り組んでいく!」と柿木さんは話していました。

柿は実はスーパーフード!

柿木さんが作るドライ柿は完全無農薬、自然栽培。放置柿を自分で収穫に行き、一つ一つ丁寧に加工しているそうです。柿は実は栄養価が高くスーパーフードとして有名。柿に含まれる栄養成分のタンニンの解毒作用が二日酔いを和らげると柿木さんが話すと「居酒屋において欲しい!」との声が参加者の皆さんから聞こえていました!

さらに、加工の製造過程で出る柿の皮はペットフード用のふりかけとしても販売可能で利益化していけるのだと柿木さんは言います。柿には抗酸化作用のあるビタミンCやβカロテン、体のエネルギー源の源となる果糖などペットの体に役立つ栄養素が沢山含まれているのだそうです。

柿の栄養価の話に、参加者の皆さんは真剣に耳を傾けていました!

地域課題の解決、そして今後のビジョン

今後は加工場の新設やキッチンカーの大型化を考えていると話す柿木さん。例えば、キッチンカーは現在の軽トラックからバスへと大型化することで、出店・収穫エリアの拡大や調理場拡大によりお好み焼きの販売枚数の増加等のプランを考えているそうです。

また今年は柿の収穫体験をやっていたとのことでしたが、来年は柿の収穫体験ツアーを検討していると話していました。
そして販路に関しても来年は海外へ販路を拡大していく構想を語っていました。

干し柿を実際に作ってみよう!

今回の講座では、柿木さんが実際に収穫した柿を使って干し柿作り体験も!作業内容は柿を剥いて、紐で枝を括り最後に殺菌のためにお湯に3~5秒ほど浸けるといったシンプルなものでしたが参加者の中には初体験の人も多く、初めての体験に盛り上がっていました!

あなたの一口が、地域課題解決の糸口に

元々、柿に興味はなかったと話す柿木さん。「名字が柿木だから、柿の事業をやったら面白くないか?」という友人との会話をきっかけに柿の事業を考えるようになり、今に至るそうです。
秋田県産の、自然農法で育った安心・安全な柿。今後は黒ビールの製造も予定しているそうです。またドライ柿はBASEや大館駅で販売しているとのこと。

参加者からの「挑戦して失敗したことはありますか?」という質問に、「全部挑戦と思ってやっているので、失敗じゃなくて挑戦」と答えていました!
気さくな雰囲気とつい笑ってしまう楽しげな会話の中に垣間見える地域課題や事業を真剣に考えている姿に、参加者の皆さんも楽しみながら真剣に講義を受けていました。

柿木さんの今後の活躍から目が離せませんね!

ではでは、次回の講座レポートでお会いしましょう!